2026年2月7日土曜日

学校レベルでの責任ある意思決定: その1=順位づけと能力別クラス編成

 SEL便り: ある意思決定 の6回目です。

 日本の学校でも、順位づけと能力別クラス編成がまだ当たり前のように行われています。これは、9回目で予定にしている「テスト・成績・通知表/内申書」の弊害と言えます。

 『成績だけが評価じゃない』の162ページには、次のように書かれています。

 生徒を順位づけて比べるという仕組みを学校が続けてしまうと、どの位置にいようと、生徒に感情的・社会的なジレンマを与えます。生徒を順位づけして比べるという仕組みは、「もってる人」と「もってない人」との間に存在する溝を永遠に埋めることはなく、前者には報酬を与え、後者には障壁を与えてしまいます。

 また、これは家庭や地域の貧富の差や不公平を浮き彫りにも(反映)してしまいます。

 生徒を順位づけしたり、能力別に分けたりする行為は、「生徒同士のヒエラルキーをいつまでも残してしまいますし、彼ら自身の学びに対するエイジェンシー(主体性)を制限」(同上、163ページ)してしまうのです。

 以上のこと及び評価や成績のつけ方に関しては、この本の第5章と第6章でさらに詳しく書かれています。その主な内容を紹介すると:

・すでにSEL便り: 責任ある思決定 の4回目で紹介した「競争 vs 協働・協力」https://gemini.google.com/share/b2267d79b2b2 について(186~191ページ)と特に「成績にサヨナラする」(188ページ)では、『成績をハックする』と『聞くことから始めよう!』が紹介されている(これら2冊の本を、ぜひお読みください!)。

・いま行われている「評価が子どもたちの自尊心に悪影響」を及ぼし(191~196ページ)ているだけでなく、「学業成績によって決めつけられる生徒のアイデンティティー」(196~203ページ)は極めて歪んだものになってしまう。

・そして、第5章の最後には「もし、すべての生徒に帰属意識をもたせたいのであれば、学力(=テストの点数)で競争するという考え方の代わりに、目標をどれだけ達成したのかという基準で評価する方法を理解してもらい、それぞれの生徒が最高の成果が出せるように励まさなければなりません」としたうえで、第6章の「個別評価で生徒の尊厳を高める」ための具体的な方法(特に、成長マインドセットを意識すること、ポートフォリオに力を入れること)が紹介されている。

 なお、第5章と第6章および上で紹介した2冊の本と同じように、順位づけと能力別クラス編成を即刻止めることを提唱しているのが、『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』(特に、46~55ページ)で、その本の残りの部分では、それらに代わるより好ましい教え方が多数紹介されています。その中の一つで最も後半に使われている教室の中に複数の学習コーナーないしセンターをつくって学ぶ方法が詳しく紹介されているのが『一斉授業をハックする』です。

 また、『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』の176ページでは、わずか一段落でしか説明されていない「チョイス(選択)ボード」という教え方・学びかたが、『ほんものの学びに夢中になる』では丁寧に説明されている(68~72ページ)ので、ぜひ試してみたくなります。基本的に、『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』で紹介されている方法は、そういう魅力的なものばかりです。