自己効力感の大切さ★は、教育者の多くが口を揃えて言います。たとえば、見取りの大切さと同じように。しかし、両方とも実践している教師はどれほどいるでしょうか? ちなみに、少なくとも後者は教科書をカバーする授業との相性が極めて悪いことが、それが実践されない理由としてあります★★。単純に、教師が一生懸命に教える間に見取りもすることは不可能だからです。もし、本気で見取りをふまえた授業をするのであれば、生徒たちが熱心に取り組める時間を増やし(=教師ががんばる時間を減らし)、その間に教師は見取って、生徒たちの学びをサポートしたり、見取りを活かして自分の教え方を修正したりする必要があります。その具体的な方法ややり方について参考になるのは、『「学びの責任」は誰にあるのか』『プロジェクト学習とは』『あなたの授業が子どもと世界を変える』そして、https://x.gd/v3zaUで紹介されている本です(国語以外の教科では、『社会科ワークショップ』『だれもが科学者になれる!』『教科書では学べない数学的思考』などが参考になります。)
それでは、本論の自己効力感の身につけ方を紹介します。
「自己効力感 バンデューラ」で検索すると大量の情報が得られます。似た言葉の「自己肯定感」「自己有用感」「自尊感情」などとの違いについては、注意してください。
一般的に、自己効力感を高める方法として挙げられるのは、次の4つです。
・直接的達成経験(成功体験を積む)
・代理経験(他者の成功体験を参考にする)
・言語的説得(周囲がサポートする)
・生理的・情動的喚起(健康状態を整える)
これらの訳し方というか、提示の仕方が、この大事な考え方が紹介されてから、もう50年近く(1977年?)経とうというのに、いっこうに授業で(教員研修の場でも!)使われない理由かもしれません。
https://projectbetterschool.blogspot.com/2025/03/blog-post.htmlの紹介の仕方の方が分かりやすいでしょうか? 2番目と3番目が逆になっていますが。「フィードバックと足場がけ」ないし「言語的説得」は、授業では教師やクラスメイトなどの「信頼できる人の励まし」があるとやる気になったり、自信がついたりするという意味です。
「代理経験」(ロールモデル)は、その対象が誰でもいいわけではありません。今の自分とはかけ離れた状況にある人ではダメです。自分と似た立場の人がうまくやっているところを見ることで、自分にもできそうと思えるのです。
一番目の「成功体験」のポイントは、難しい課題を易しくすることではなく、小分けに(目標を分割)して着実に成功できるようにすることです。
最後は、心身が快適な状態のあることが大切だということで、PLC便りの説明が分かりやすいでしょう。
以上の4つを見てくると、単に知識ないし認知面を大切に考えればいいのではなく、感情や対人関係(要するに、SEL)が大きなウェイトを占めていることが分かるでしょう。
元英語の教師で、今はインストラクショナル・コーチをしているタイラー・ラブリン先生は、「自信(やグリット、レジリエンス、さらには、自己肯定感、自己有用感、自尊感情等・訳者補記)に焦点を当てると、結果につながるという信念や希望を強調しているのに対して、自己効力感は結果を通じて信念を高めることに焦点を当てています。要するに、自己効力感は、生徒にこれまでの成功の証拠を意図的に提供し、将来の成功が可能であるという信念を築く手助けをすることに関わっています。自己効力感は、私にとって非常に強力な焦点となっており、それが私を教師としてより意図的にさせてくれます。これは、生徒が早い段階で成功の証拠を得られるように、評価やフィードバックをどのように組み立てるかについて意識的になることを要求します。それによって、生徒は将来の成功の可能性を見ることができるのです。」
ラブリン先生が書いていることは、4つの方法のうちの「生徒自身の成功体験」や教師やクラスメイトなど信頼できる人からの「フィードバックや励まし」、そして部分的には「ポジティブな感情や良い身体的状態」とも関係していることを表しています。
さらにラブリン先生は、「この点では最初に苦労しました。なぜなら、成功の『証拠』として表面的なものや偽りのもの(過度に賛辞を与えるようなこと)は、生徒たちの自分の能力や価値に対する自信を長期的に害することが多いとすぐに気づいたからです。だからこそ、生徒たちに早い段階で成功の証拠を提供するための方法を意図的に考える必要があることに気づきました」と書いています。
生徒の自己効力感を高めるフィードバックの仕方として、「glow and grow(光っている点と成長が求められる点)」があります。成長が求められる点(=間違っている部分や改善が必要な部分)だけを指摘するのではなく、どちらかというと、すでに光っている点(=できている部分)を多めに指摘することで、自己効力感や自信を高められます★★★。
★https://selnewsletter.blogspot.com/2025/03/blog-post_15.html の最後の下線。
★★このことは、生徒の自己効力感を高めることにも同じように言えるかもしれません。提示されている4つの方法に教科書をカバーする授業は助けになりますか? それとも、妨げになりますか?
★★★これは、「大切な友だち(https://projectbetterschool.blogspot.com/2012/08/blog-post_19.html)」と同じと言えます。
参考:https://www.edutopia.org/article/boosting-students-self-efficacy