前回の齋藤さんからのご質問に関連して、アメリカでの実践について情報提供させていただきます。
実践においての障壁や難しい点、失敗談やうまくいったことなど、現場の先生のご経験から学ばせていただければと思います。
SELプログラム
前回の記事の通り、SELはプログラムとしてではなく、日々の学習のなかに取り入れていただくのが一番だと思います。もちろん授業内容に即して「取り入れる」ことが理想的だとは思いますが、数分でできるアクティビティもたくさんありますので、授業の初めや終わり、時間があるときにSELのアクティビティをできるようにしておくのもよいかもしれません。
日々の学びに取り入れることが必要だと認識したうえで、SELのプログラムについていくつかの学区の情報についてみてみましたが、Healthの授業の時間を系統的にSELを学ぶ時間に当てているところが多いようです。子どもの学校では、7,8年生に週に2回Health(67分、45分)の時間があり、そこでSELについて学んでいます。先月は、『感情と社会性を育む学び (SEL)』にも紹介されているグリッターボトルを作り、マインドフルネスについて学んできました。
たとえば、7年生の場合は、Healthの授業で、自己認識、ストレス対処、必要なサポートへのアクセス、マインドフルネス、健全な人間関係、聴く力、アンガーマネジメント、対立の解決、いじめ防止などがSELに関連した項目が取り扱われています。
また、小学校では、アートの時間にSELを取り入れていることが多くなっています。自己表現と合わせて、自己認識についてふり返る機会が多くあります。
SELアンケート
子どもたちの実態把握のため、学区全体で、毎年10月、1月、4月にSELに関するスクリーニングを行っています。こちらは、Panorama Educationのアンケートを利用しています。項目は、子どもたちのグリット、成長マインドセット、日々の感情や自己認識、自己管理、社会認識、共感する力、学校の安全性、多様性、所属意識などを測るものになっています。
アンケート結果を基にして、子どもたちに必要なことを日々の時間やHealthの時間に重点的に教え、実践の時間をつくっているようです。そして、子どもたちのアンケート結果の変化を一年を通じて、もしくは学年を越えて毎年みていくことで、SELに関連したスキルの成長を評価しています。
また、子どもたちと同時に教師自身の感情と社会性に関わるスキルを評価し、必要な支援は何か考えるためにアンケートも実践している学校もあります。
SELプログラム・アクティブティとしてだけではなく、日々、子どもたちへの声かけや対応のなかに、さまざまなSELの実践の機会があると思います。そのなかでSELについて勉強されている先生がいらっしゃれば、対応が変わり、子どもたちが日々SELを学ぶ機会はぐんと広がっていくのだと思います。
夏にお会いした日本の小学校の先生は、2×10を実践して生徒との関係性が築け、教室が変わってきたとおっしゃっていました。また、もともと行っていた数分の面談をSELとして捉えることで、同じような実践でも見えてくることが変わってきた、とおっしゃっていた方もいらっしゃいます。
今後もぜひSELを紹介し、お互いに学び合う場、現場の先生方が一緒に考えていける場としていただければよいのではないかと思います。
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