2024年12月7日土曜日

形成的フィードバックで強みと課題を知る

 「評価で生徒の自己認識を育てる」の第2弾です。

 前回https://selnewsletter.blogspot.com/2024/11/blog-post.html 紹介した6つの可能性のうちの ①学習を通して生徒の強みや課題を認識し、感じることを表現するための方法 を紹介します。

 スター・サックシュタインは、『成績だけが評価じゃない―感情と社会性を育む(SEL)ための評価』のなかで次のように書いています(54~55ページ)。

形成的な学びと総括的な学びは誤解されています。私たちは、総括的に示された学習成果(期末試験の成績や学期末の通知表など)を重視しすぎて、そこに至るまでの形成的なプロセスを軽んじてしまうといったケースがあまりにも多いというのが現状です。

形成的な学び(評価)とは、学びがどのように起こっているのかを明らかにすることです。つまり、生徒がどのように取り組んでいるのかを確認したうえで、より良い取り組みや、学びを可能にするために役立つフィードバックの提供機会を指しています★★

 形成的な営みは成績に含まない場合が多いため(たしかに、含むべきではありません!)、生徒は(教師も・訳者付記)「意味がない」と思って誤解するケースが多いです。しかし、形成的な営みのなかでこそ学びが生じていますので、もちろん「意味がある」のです。教室での学習環境を整えていき、教室を、自分には何がうまくできて、どのような点は改善すべきなのかを見極める場所であると、生徒自身が信頼感を抱く必要があります。★★★

 このあと56~62ページにかけて、形成的な学び/評価を取り入れるための方法がいくつか紹介されています。

・具体的な教え方としてのプロジェクト学習とワークショップの授業

・授業中に支援を受ける機会を公平に提供すること ~ この際、平等との違いを認識する必要があります! https://projectbetterschool.blogspot.com/search?q=%E5%B9%B3%E7%AD%89

・生徒のスキルや知識を形成的に評価できる課題づくり

・生徒と一緒に作るルーブリック

 これら(特に、ルーブリック)は、「それぞれの生徒が『今どこにいるのか』が理解できるように手助けして、次のレベルに行くための道筋を提供すれば、生徒は自己認識を高め、いま必要としているものが何かを主張するための力を身につけはじめます」(63ページ)。 3つ紹介されているルーブリックのうちの一つを掲載します。

 生徒と一緒に目標達成のための基準(=ルーブリック)をつくれば、授業で何が期待されているのかが明確になり、知らなければならないこと、やらなければならないこと、そしてより重要な、どうすればうまくいくのかについて不安感を減らせます。しかし、すべての生徒がすぐに学べるわけではありません。私たち教師が「期待していること」が何なのかを、可能なかぎり明確にすれば、生徒はより自信をもって学習に取り組むようになります(64ページ)。

 ルーブリックの価値は、もちろん評価の見える化にもありますが、最大の価値は、生徒たちがまだ学習している間に自己評価+自己修正・改善を可能にして、より高みに自分を押し上げることができることと言えます。これは、これまでの評価の捉え方にはなかったものではないでしょうか?

 

★ここでは「学び」が使われていますが、「評価」に置き換えられます。

★★換言すると、形成的評価とは、まさに「指導と評価の一体化」を実現した教え方・学び方ということになります。

★★★これが、学級づくり、授業、コミュニティーとしてのクラスの核だと思いますが、あなたは実現できていますか? まだの方や自信のない方は、本書『成績だけが評価じゃない』の第1章「信頼できるだけの人間関係を築いて学びをサポートする」、『「居場所」のある学級・学校づくり』、『「考える力」はこうしてつける』などが参考になります。

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