去年の12月に『教師のためのアート・オブ・コーチング』という本を出したのがきっかけで、その著者のエリーナ・アギラ―さんがあちこちに書いた無料で読める記事(ブログ等)を読んでいます。ここで紹介するのは、彼女が11年前の2014年4月24日に書いたものです(CASELの設立は1994年ですから、アメリカでは20年が経過した段階です。いまは30年経っていることになります!)。~以降の青字は、紹介者のコメントです。エリーナさんの説明だけで試してみるのに自信がもてない方は、参考図書をご覧ください。
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前回(4月17日)のブログ(明朝のhttps://projectbetterschool.blogspot.com/ を参照)では、SELは子どもだけでなく、教師、管理職、コーチ、そして学校で働くすべての大人に必要だという主張をしました。これから紹介するレッスンは、学校全体のスタッフで取り組むことも、個人で実践することもできます。目的は、感情への気づき、自己管理、社会的な気づき、そして人間関係のスキル★を育てることにあります。
レッスン1:感情を認識する練習をする
1日、あるいは1時間だけでも、自分の感情的な反応を観察してみましょう。たとえば、学校に着いたとき、「子どもたちが来る前に全部終わらせなきゃ」と不安を感じている自分に気づくかもしれません。そのときは、ただ気づき、「あ、不安があるな」と心の中でつぶやいてみてください。また、ある同僚の教室の前を通ると、彼女が友人であるために安心感や心地よさを感じることがあるかもしれません。そのときも、「あ、安心しているな」と気づいてみます。大切なのは、評価や判断を加えずに、ただ気づき、名前をつけることです。もしよければ、メモを取ったりジャーナルを書いたりして、一定期間の自分の感情の動きを記録してみてもよいでしょう。ときには、自分が何を感じているのかうまく言葉にできない瞬間もあるはずです。それでも大丈夫です。思い浮かぶ言葉をすべて書き留めてみてください。 ~『感情と社会性を育む学び(SEL)』の第3章に似た活動がいくつか紹介されています。
レッスン2:身体の反応に気づく
自分の身体がどのように感情を経験しているかを認識する力を磨くことも、SELの大切なステップです。私たちの身体はしばしば感情を表現します。もしその反応に意識を向けられれば、役に立つ情報を得られることがあります。たとえば、保護者が子どもを送りに来たとき、自然に笑顔になっている自分に気づくかもしれません。そのとき、心の奥にある感情にも気づけるかもしれません――「ありがたい。このお母さんはいつも前向きだな。」また、管理職と話すとき、肩がこわばり、お腹が固くなり、呼吸が浅くなることに気づくかもしれません。そのとき、こうした身体反応の背後にある感情を認識できるかもしれません――「身構えている。不安だ。」こうした気づきを得ることで、私たちは「どう行動したいか」を選べるようになります。たとえば、管理職と話すときに不安を感じていると気づいたら、深呼吸をしたり、肩の力を抜いたりすることができます。感情に気づき、名前をつけることは、「自動操縦」の状態から抜け出すことにつながります。そのほうが、たいていの場合、自分の力をより発揮できる状態になります。 ~『感情と社会性を育む学び(SEL)』の100~102ページ参照。
レッスン3:好奇心をもつ
感情に気づき、名前をつけられるようになったら、次はその感情に対して好奇心をもってみましょう。調べてみる。探ってみる。問いかけてみる。たとえば、管理職と話すときに不安を感じる自分に気づいたら、こんなふうに振り返ってみます。
「私はいつからこう感じているんだろう?」
「最初はどんなきっかけだった?」
「もう一人の管理職と話すときはどう感じる?」
「この人は私の中の何を刺激しているんだろう?」
「その感覚はどこから来たんだろう?」
ここでの目的は、自分の心理的な歴史を深掘りすることではありません。体験そのものに問いや不思議さ、好奇心を吹き込むことです。そうすることで、感情の“つかみ”が少しゆるみ、その体験について役立つ何かが見えてくることがあります。 ~ 『SELを成功に導くための五つの要素』の第3章「自己を見つける」を参照。
レッスン4:感情を観察する
私たちは感情そのものではありません。もし感情を観察する練習ができれば――まるで地上1万フィート上空から、自分が感情を経験している様子を眺めるように――その感情に振り回されずに行動を選べるようになります。感情がときに強く、しがみつくように感じられることもあれば、軽くてすぐに流れていくように感じられることもあります。感情に執着しない練習はとても役に立ちます。
感情はただの「状態」であり、やって来ては去っていくもの――そして、私たちはその状態にある程度の影響を与えることができます。私はときどき、自分の感情を天気のようにイメージします。嵐の日もあれば、穏やかな空の日もある。激しい雨もあれば、そよ風の日もある。天気が変わるように、感情も必ず変わります。そして私は、自分を一本の木として思い描きます。その木は、やって来ては過ぎていくさまざまな感情(天気)をただ経験しているのです。 ~ 『学びは、すべてSEL』の第3章「感情調整」を参照。
レッスン5:自分の感情が他者に与える影響に気づく
自己批判に陥らずに、自分の感情状態が周囲にどんな影響を与えているかに気づくことから始めましょう。ポイントは、科学者のように観察することです。たとえば、こんなふうに自分に語りかけてみます。
「へえ、面白いな。今まで気づかなかった。」
「わあ、私が〇〇な気持ちのとき、Xにはこんな変化が起きるんだ。」
たとえば、ある生徒に対して、いつも大きな笑顔で温かく迎え、会えると本当に嬉しくなる自分に気づくかもしれません。そのあとで、こんなことにも気づくかもしれません。
「私があんなふうに挨拶すると、この子の表情がふっと緩んで、笑顔が広がり、落ち着いて席につくんだ。」
また、疲れて不安を感じているときに、事務の方に書類をそっけなく頼んだら、相手の肩がすくみ、返事も刺々しくなったことに気づくかもしれません。
こうした観察をするときは、自分を責めないことが大切です。ただ気づく。名前をつける。観察する。それだけで十分です。~ 『SELを成功に導くための五つの要素』の114ページ前後の「セルフ・サイエンティストになる」を参照。
これが私の「理想の姿」です。
学校のスタッフが、これらの実践に数週間から数か月取り組む。その過程で、自分たちがどんな体験をしているのか、何に気づいているのか、何を学んでいるのかを語り合う。それは、週に10分(職員会議や研修の冒頭など)でもよいし、本来ふさわしい時間――週に1時間以上――を確保してもよいでしょう。
これらのレッスンには、感情を表す語彙を広げること(多くの大人に欠けているスキルです)や、難しい感情にどう対応するかという「ツールキット」を育てることも含まれます。
そして、私の理想をさらに広げるなら、学校のすべてのスタッフとすべての生徒が、この学びに一緒に取り組む姿を見てみたいです。 ~ まさに、エリーナさんの理想を実現するために書かれた本が、『SELを成功に導くための五つの要素』です。それも原書の出版年は2013年ですから、彼女がこのブログを書いたのとほぼ時を同じくしています。
これは始まりにすぎません――しかし、とても力強く、変革をもたらす始まりです。
大人が本来受けるべきSELを提供するための第一歩であり、学校をもっと落ち着いた、もっと幸せな場所にすることにつながると私は確信しています。
出典: https://www.edutopia.org/blog/five-social-emotional-learning-lessons-for-adults-elena-aguilar
★このリストには、「責任ある意思決定」が含まれていませんが、いま本ブログで連載中です。https://selnewsletter.blogspot.com/search/label/%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E3%81%82%E3%82%8B%E6%84%8F%E6%80%9D%E6%B1%BA%E5%AE%9A
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