2023年5月20日土曜日

「車椅子やベビーカーユーザーの優先/専用エレベーター問題」の解決は、SELが鍵! ~共感1

 ラジオのニュースを聞いていたら、「車椅子やベビーカーユーザーの優先/専用エレベーター問題」というのがあることを知りました。

 弱い立場にある人たちが、乗れない状態になってしまうので、それをサポートするために設置者たちはいろいろ努力をしているようなのですが、まったくうまくいっていないというのです。

 電車やバスの優先席は、それなりに定着しているようですが、この問題は問題解決の兆しが見えないらしいです。

 この問題が起こること自体、SELの観点でみると、共感とセルフ・アドヴォカシーを中心にSEL全般のスキルの欠如の問題と言えるのではないでしょうか?

 セルフ・アドヴォカシー(およびそれと対をなす自分以外の人によるアドヴォカシー)についてはhttps://projectbetterschool.blogspot.com/2023/03/blog-post_19.html を参考にしてください。そこでは、学習のなかでのことが中心に書かれていますが、学習以外の場面でも同じです。

 共感ないし共感力で、いろいろな本やネット情報で調べてみました★が、一番共感できた内容は、ミシェル・ボーバ著の『共感力を育む』で見つけることができました。その本の章のタイトルが、共感の中身を示してくれていますので、下に貼り付けます。(メインのタイトルだけでは分かりにくいところもあるので、サブタイトルもつけます。)


部 共感力を発達させる
第1章 共感力のある子は人の気持ちが分かる感情の読み取りを教える
第2章 共感力のある子は道徳的自己認識がある倫理的規律を発達させるには
第3章 共感力のある子はほかの人の必要が分かる視点を変え、ほかの人の立場を理解する
第4章 共感力のある子は道徳的想像力がある共感力を培うための読書
部 共感力の練習をする
第5章 共感力のある子は冷静を保てる感情を抑制し、自己コントロールを学ぶには
第6章 共感力のある子は親切を実行する思いやりを育むために、日常的にできる取り組み
第7章 共感力のある子は「あの人たち」ではなく「私たち」と考えるチームワークと協力を通して共感力を培うには
部 共感力に生きる
第8章 共感力のある子は断固たる態度をとる道徳的な勇気を高めるには
第9章 共感力のある子は変革をもたらしたいと思う利他的な変革者を育てるには

 この本のいいところは、これら9つの力を練習して身につけるための方法が、具体的にたくさん紹介されていることです。目の前にいる子どもたちが、これらのどれかに欠けていると思ったら、ぜひ本を読んで試してみることをおすすめします。

 https://listfreak.com/list/20679 では、4つのステップ(観察し、感じ取り、考え、伝える)として紹介されていますが、あなたは共感を単に伝えるレベルで終わってしまっていいと捉えますか? それとも、(『共感力を育む』の第6章以降のように)行動を伴ったアクション・レベルで捉えますか?

http://wwletter.blogspot.com/2023/02/sel.html で紹介しているSELの枠組みで見ると(図を参照)、なんと、共感は「社会的スキル」に含まれています。

 また、この同じ図の「アイデンティティーとエイジェンシー」のところ以外(?)★★は、「車椅子やベビーカーユーザーの優先/専用エレベーター問題」の解決に向けて当事者たちが必要なスキルが多く含まれていることが分かります。逆に、これらなくして、このような問題に遭遇したときにどのように対処できるというのでしょうか? それが、知識だけを優先する教え方から、これらのスキルも磨きながら学んだ方が、結果的に自分にとっても、社会にとっても、さらには知識の習得にも効果的だと欧米ではおよそ30年前に判断して取り組み始めたという経緯があるわけです。(ウ~ン、確かに、学校での教科の知識だけでは、「車椅子やベビーカーユーザーの優先/専用エレベーター問題」を含めて、世の中の多くの問題を解決したり、改善したりできる気はしません!)

 

SEL便りの二つの姉妹ブログ(WW/RW便り (wwletter.blogspot.com)PLC便り (projectbetterschool.blogspot.com))の左上に「共感」を入力して検索すると、たくさんの記事が見つかります。特に、前者の読むことや理解することに「共感」が欠かせないというか、主要な役割を果たしていることに気づけますが、国語の授業や読書している時に意識したことはありますか? なお今回、「共感」でいろいろ調べたことで、「共感」に目覚めてしまいましたので、SELで書き進むのとは別立てで、共感で連載をスタートすることにしました。いつまで続けられるかは定かでありませんが、これには第2と第4土曜日を当てることにして、タイトルの最後に「~共感+No」と付けます。今回が、その1回目でもあります。

★★よく考えてみると、自分こそがこの問題を改善できる主体者であるという意識(エイジェンシー)や、そう簡単に解決・改善策が得られて、問題がなくならないことを踏まえると、「忍耐力とやり抜く力」や「レジリエンス」も欠かせないと思いました!

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