サークルタイムで検索すると、保育園(や幼稚園)では人気の活動になりつつあることが分かります。しかし、欧米では5~18歳が対象に設定されていますし、実際行われています。それも、30年ぐらい前から。サークルは元々、ネイティブ・アメリカンやニュージーランドのマオリを世界各地の人々(そのなかには、日本も含まれます。宮本常一の本からそれが分かります。縄文時代からの長い歴史がある気がします!)が集会の際に使っていた方法です。
保育園でサークルタイムに取り組み始めた理由は、次の通りです。
- 子どもたち同士で考える場をつくりたかったから
- 自分の意見を言う。相手の意見に耳を傾ける。が自然にできるようにしたくて
- 子どもの主体性を大切にするため
- 単純にみんなで話しをするのが楽しい
- 子どもたちが思っていること感じていることを知ることができて保育の環境設定のヒントになるから(https://hoiku-is.jp/article/detail/1785/より)
これは、保育園や幼稚園だけのニーズでしょうか? 小学校~大学、社会教育でも必要なことではないでしょうか?
サークルタイムのやり方は、https://hoiku-labo.com/news_710.htmlやhttps://hotmilk.jp/column/1179/などに書いてあります。対象に関係ない一般な進め方は以下のようです。
◆サークル(輪になって話すこと)(幼稚園児~高校生)
・教師があるテーマを提示してから、生徒と教師でそのテーマについて話し合う。
・テーマが提示されたら、一人ずつ順番に話をしていくが、話す準備ができていない、もしくは話したくない生徒は、「パス」することで次の人に話してもらうことができる。
・サークル内の全員にまず話す機会を一巡させたあと、まだ話していない生徒(パスした生徒)に再度話す機会を与えるが、話すか話さないかはあくまで本人次第とする。
・話す時間は生徒一人につき一〜二分とし、チャイムやハンドサインなどを使って、残り時間が一五秒になったら知らせ、生徒は最後のまとめをする(下で紹介しているサークルタイムの中心に据えられている「文章を完成させるエクササイズ」だと一人数秒で十分です)。
・今、誰が話しているのかを明確にするために、棒やぬいぐるみなど、何らかのモノ(「トーキング・スティック」などと呼ばれる・訳者付記)を使ってもよい。
(出典:『SELを成功に導く五つの要素』384ページ)
私がサークルタイムについて知ったのは、1997年にDeveloping Circle Time(Teresa Bliss他著)という本を購入した時です。そのころはまだ、SELが広く認知されていませんでしたが、この本のなかでサークルタイムをすることで得られるものは、次の3つであることが図で示されていました。
Self Awarenessは、SELの5本の柱(https://selnewsletter.blogspot.com/2023/03/の図)のうちの「自己認識」です。Group and Social Skillsは「社会認識」と「対人関係スキル」に相当します。そして、Personal Skillsは自分の感情と行動をコントールする「自己管理」です。(「責任ある意思決定」は含まれていませんが、サークルタイムでのやり取りを通して十分に責任ある判断や意思決定の練習はできています!)
また、Personal Skillsのなかにサークルタイムで得られるものとして、自尊感情が含まれているのも印象に残っていました。
Developing
Circle Timeの本のなかで、他の目を引いた点を以下に列挙します。
・サークルタイムは、アドバイスや癒しを目的にしたグループ活動ではない。
・サークルタイムのルールは①誰かが話している時は、よく聴く。②誰も発言しない権利をもっている。③他に人が何をしているべきか注意はしない。④嫌がらせはしない、の4つしかないが、最初からすべてを提示する必要はなく、最初の2つを言い、残りは必要に応じて説明する程度でいい。
・サークルタイムの中心は、文章を完成させるエクササイズ★である。
・サークルタイムを教えることと学ぶことの大切な一部にすると判断するなら、(たまに行う特活の活動としてではなく)継続して取り組む計画を練る。具体的には、一日の最初や最後、授業の初めや終わり、教師ないし生徒がその必要性を感じた時など(この点については、『生徒指導をハックする』の第2章を参照ください)。授業をする際の計画や記録が大事と思えるなら、生徒たちの社会的・感情的な発達面について計画と記録についても同じように価値を感じられるはず。
・まだ慣れていない時や、声に出すのを躊躇するようなテーマを扱う場合は、言葉にせずに行動で示す方法や、ペアで紹介し合って、それを相互に全体に共有する方法などを使う。
・最後にサークルタイムをすることで得られるものは、
*教師は、生徒たちのことをたくさん知ることができる。
*生徒は、たくさんの自分たちのことを知れ、どのようにグループのなかで機能すればいいかも知れる。
*生徒は、自分をどう表現すればいいかを学べる。
*教師と生徒、生徒同士の、クラス内の対人関係が向上する。
*生徒たちが待ち望む楽しい時間になる。
私の手元にある何冊かの本のなかには、サークルが多様な形で使われている事例が紹介されています。
・『静かな子どもも大切にする』(154~160ページ)では、「トーキング・サークル(関係修復のサークル)」の名称で紹介されています。
・『学びは、すべてSEL』(200~210ページ)では、「社会的スキル」の章のなかで「コミュニケーション・サークル」の名称で紹介されています。
・『私にも言いたいことがあります!』(89~93ページ)では、「生徒の声で大切な仲間づくり」の章で「クラス・ミーティング」の名称で紹介されています。
・『聞くことから始めよう!』は生徒の意欲を高める評価について書かれた本なのですが、その228~240ページではなんと「生徒の自己評価」の章のなかで「シェアリング・サークル」の名称で、著者自身がもがきながら生徒たちのサークルへの心をつかんだ経験が紹介されています。
そして最後に、サークルについて最も詳しく書かれているのが
・『生徒指導をハックする』です。第2章がすべてサークルの紹介に割かれていますから。参考にしてください。
★Developing Circle Timeには、「sentence completion themes」が最も重要な活動と書いてあります。「sentence completion for circle time」で検索したら、この本で紹介されているリストが、Sentence Completion Themes_0.docx (live.com)でそのまま見られました(検索すれば、他にもいいリストが見つかるかもしれません!)。日本語版の例は、『静かな子どもも大切にする』の156~159ページで見られます。
◆資料(動画中心)
60-Second
Strategy: Community Circles | Edutopia
Weekly Circles: Building
Community to Foster Academic Achievement (youtube.com)
WATCH:
How one school is centering social-emotional learning | PBS NewsHour
https://www.youtube.com/watch?v=DqNn9qWoO1M(以上は、アメリカ)
イギリス:Come Round to Circle Time:https://www.youtube.com/watch?v=fMvuqHaAZ5A
Microsoft
Word - circle_techniques_and_activities.doc (pghschools.org)
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