2024年3月16日土曜日

とても効果的なサークルの異なる使い方

  前回は最も一般的なサークルのもち方およびその効用について紹介しました。図を示しながらSELの5本の柱(https://selnewsletter.blogspot.com/2023/03/の図)のうちのSelf Awareness「自己認識」、Group and Social Skills「社会認識」と「対人関係スキル」、そして、Personal Skills「自己管理」の練習になることが分かりました。今回は、5本の柱の一つだけ含まれていなかった「責任ある意思決定(+行動)」を可能にするやり方を『生徒指導をハックする』から紹介します(44~45ページを参照)。

サークルは、生徒たちが協力して意見を出し合って、問題に対処する機会を提供できるとてもパワフルなツールです。それは、一日を前向きにスタートするためにも使えますし、問題解決に向けて前向きなコミュニケーションを図る力も高めます。

「関係修復のサークル」は、クラスで気になる問題などに対応したいときにとても有効なツールとなります。

・朝の「チェックイン・サークル」(=授業開始時や一日の初めに行うサークル)と同じように、生徒にサークルになるように言います。

・教師は、権威者としてではなく、ファシリテーターおよび生徒の発言の聞き手として輪の中に入ります。

・まず、ファシリテーター(ここでは教師が務めています)が、クラスの問題やもめごとに関する主な要因をみんなに伝えます◆。

・教室の雰囲気が落ち着いたら、サークルでの「期待される行動」注・ここでいう「期待」には、ルールや規則に代わる大事な意味があります。第4章を参照してください。について確認しましょう。たとえば、「スマートフォンはしまっておいてください。『話し手のしるし』(=トーキング・スティック)を持っているときだけ話をすることができます。今回は、授業に集中できていないという問題に焦点を当てます。誰か話しはじめたい人はいますか?」などと進めましょう。

・生徒たちが問題について語りはじめたら、次のようなフォローアップの質問を投げかけてみましょう。「そのことで、あなたはどんな気持ちになりましたか?」や「なぜ鉛筆が飛んできて、あなたは腹が立ったのですか?」などです。相互に説明する責任が果たせる機会を生徒に提供し、問題を解決する方法を話し合ってください。話し合う機会を与えて、生徒の気持ちがスッキリしてからその日の授業に向かいましょう。

・生徒から出される意見が繰り返しになってきたり、意見がなくなったと感じるようであれば、サークルを終わりにするときです。

・サークルを終了する前に次のステップについて話し合い、生徒たちが解決に向けて決めたことを一緒に振り返って確認してください。

・サークルが終了したら、すぐに普段の位置に椅子を戻すように生徒に伝えましょう。

・授業に戻る前に、当日の授業内容の見通しと、授業において生徒たちに期待されることを共有してください。

 この関係修復ないし問題解決のサークルに最初から取り組むことはハードルが高いので、まずは前回紹介したサークルhttps://selnewsletter.blogspot.com/2024/03/blog-post.htmlを定期的に行ってハードルを下げておいてください。それを通じて、

・安心安全なスペースをつくる

・「期待」を根づかせる。「私メッセージ」を使う練習をしておく

・コミュニケーションを促進する。オープンな対話や前向きな発言をほめる

・共感の輪を広げる。生徒が共感を示した時はほめる(同上、48~49ページ)

ができるようになっており、

・サークルを終わりにする。話の内容を要約し、計画や次のステップが決まっていれば、そのことを説明すし、全員に参加してくれたことに感謝する(同上、50ページ)ことで、

問題解決に向けて前向きなコミュニケーションを図り、責任ある意思決定と行動ができるようになっていきます。教師が間に入って問題解決をしてしまうよりもはるかに効果的な、生徒が自立的な問題解決者・意思決定者になるための練習の機会を提供することができるのです。

 

◆なれてくると、必要性を感じた時に生徒が問題解決/関係修復のサークルの開催を求めるようになります。その事例は、46~7ページに紹介されています。深刻な問題解決/関係修復が必要な場合については、第1章に詳しく参考にしてください。いずれも、教師主導ではなく、https://selnewsletter.blogspot.com/2023/12/blog-post.html やhttps://selnewsletter.blogspot.com/2024/02/blog-post_17.html で紹介したのと同じように、生徒が自らのスキルアップを目指すアプローチです。

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