2024年8月3日土曜日

スポーツ+遊びとSEL

 皆さんは、最近寝不足になっていませんか?

 そうです、パリ・オリンピックを見るために。

 個人的には、年と共に、あまり見なくなっているので、寝不足の問題はありません。

 また、スポーツは見るもの以上に、するものだとも思っています。

 そこで、今回はSELという観点で、スポーツ(と遊びも)を見てみたいと思います。

 まずは、https://mobilecoach.teamusa.org/page/5103/connection-based-coaching/18629/about-connection-based-coaching をご覧ください。動画で話されていることは、すべて画面に表示されています(から、本文を翻訳ソフトに入力して訳してください)。アメリカはオリンピックを活用して参加者(子どもたち)のSELスキルを磨くことに乗り出しています! 何といっても、パリの次はロサンジェルスですから。

 次はオリンピックとは関係なく2020年の10月にアップされた動画https://www.edutopia.org/video/using-athletics-teach-social-and-emotional-skills を見てください。言葉はあまりわからなくても、感じはつかめると思います。何が話されているのかを知りたい方は、動画の下の「View transcript」をクリックすると、話されている内容が読めます。これを翻訳ソフトで訳してください。(あるいは、YouTubeの画面の下にある歯車アイコンの「設定」を操作することで、日本語字幕に換えられます。まだ翻訳ソフトの精度は7~8割程度ですが、意味は十分に通じます。)

 スポーツは、子どもたちのSELスキルを磨くとてもいい機会であることがわかります。それなら当然、学校での体育の授業でもSELをと考える方には、

https://www.edutopia.org/article/sel-possibilities-physical-education

https://www.edutopia.org/article/setting-sel-program-physical-education-classes がお勧めです。

 もう一つのテーマの遊びに移ります。

 『遊びが学びに欠かせないわけ』の第8章のタイトルは、「社会的・感情的な発達に果たす遊びの役割」です★。まさに、SELの各要素が磨かれることが明らかにされています。

その最初のページに、「大人たちから離れて、他の子どもたちと遊ぶことで、子どもは自分で判断し、自分の感情や衝動をコントロールし、他者の視点で見られ、他者との違いを乗り越え、そして友だちになることを学びます。要するに、遊びによって子どもたちは自分の人生をコントロールすることを学ぶのです」(206ページ)と書かれています。私たちは、この大切な機会をドンドン減らしていないでしょうか?

 そして、『遊びが学びに欠かせないわけ』の著者は、遊びとしてするスポーツと大人によって指導されるスポーツを比較しています(以下は、206~7ページの引用です)。

昔はよくやっていた草野球を思い描いてください。誰か一緒に遊べる仲間がいることを期待して、多様な年齢の子どもたちが空き地に集まってきます。歩いてくる子、自転車でくる子、一人でくる子、何人かと誘い合ってくる子といろいろです。そして、バットを持ってくる子、ボール(それも、本物の硬球ではありません!)を持ってくる子、そして野手用のグローブを持ってくる子もいます。そして、遊ぶのに十分な人数になったので、始めることになるのです。信頼のあるもっともいいプレーヤー二人が双方のチームのキャプテンになり、自分のチームのメンバーを順番に指名します。その後に、帽子、フリスビー、サイズが合いそうなものなら何でも使って、ベースを配置します。もしすべてのポジションを埋めるには人数が足りない場合は、何とかやりくりします。子どもたちに何をどうしたらいいのかを教えてくれたり、問題が起こったときに解決してくれたりする大人はいません。自分たちですべてをやらなければなりません。このような野球の仕方は、まさに「本物の遊び」です。何をどうするかはすべて子どもたち自身によって決められ、運営され、そして何かの報酬のために行われるのではなく、野球を楽しむためだけに行われます。

 今度は、リトルリーグの野球を思い描いてください。手入れが行き届いたグランドで行われます。それは、プロの選手たちがプレーするグランドのミニ・バージョンです。遠くからくる子もいたり、親たちがサポートをしたりしているので、子どもたちの多くは親に車で送ってもらっています。自分の子どもを見守り、チームに声援を送るために、多くの親が練習や試合を見るのにとどまります。継続して行われるリーグなので、誰がレギュラーで誰が控えかは事前に決まっています。それぞれのチームには、大人のコーチや主審がいます。公式な成績がつけられ、勝ち負けの記録によってシーズンの優勝チームが決まります。本当にそこでプレーしたい子どもたちもいますが、中には親におだてられたり、押し付けられたりした子どももいます。

遊びとして行われる非公式で自主的な草野球やその他のスポーツは、公式で大人によって指導されるスポーツでは得られない貴重な教訓があります。以下に紹介するのは、どんな人でも得られる大事な五つの教訓です。

教訓1・試合を続けたければ、全員を満足させ続けなければならない。

教訓2・ルールは修正可能で、プレーヤーたちによってつくられる。

教訓3・対立は、話し合い、交渉、妥協で解決する。

教訓4・あなたのチームと相手チームの違いは一切ない。

教訓5・よいプレーをして、楽しむことの方が、勝つことよりもはるかに重要。

これらについては、207~214ページで詳しく論じられています。

 以上のことからも、遊びの価値が明確です。そして、学校や大人によって指導されるスポーツも、これらをできるだけ補う必要性をわかっていて、かつその方法をもっている指導者がいないと、せっかくのチャンスを逃していることになります。だからアメリカでは最初のURLで紹介した「SELについて100万人のコーチをトレーニングする取り組み」をスタートさせたのです。

★この章以外でも、遊びと学びについて多面的に捉えた本(=学校の在り方を根本的にとらえ直す本)になっていますので、ぜひご一読を! https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0731224 で、詳しい目次が見られます。

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