SELの5本の柱の一番目は「自己認識」ですが(https://selnewsletter.blogspot.com/2024/11/blog-post.html)、二番目の柱は「自己管理」です。それはまさに、『成績だけが評価じゃない』(スター・サックシュタイン著)の第3章のテーマです。この本を読んだある先生から、「第3章の『より良く学ぶために自己管理能力を促進する』ことはとても面白いと思いました。あまり学校現場では教えられていないけど、人生においては大切なことだと思います」というコメントを頂きました。つまり、自己管理は教えられるスキルなのだ、ということです!
この章の書き出しで、サックシュタインさんは以下のように書いています(105ページ)。
生徒の自己管理とコントロール能力の欠如は、小学校から大学まで、すべての教師が抱えている悩みの一つです。時間管理、計画・組織化、教室での人とのつながり方(どのようにして自分と気のあう人を選ぶのか、あるいは選ばないのかなど)、行動上の問題などといったさまざまな問題が生徒にはあり、教師は苦労し続けています。
上の文章に賛同する読者は、多いのではないでしょうか? そして、次のような疑問も湧きました。
・「自己管理とコントロール能力」は、教育関係者がよく言う「自律」と同じと捉えられますか? それとも違いますか? 「自律」には、「自己管理とコントロール能力」以外にどんなことが含まれるでしょうか? 「自律」の大切さは、よく強調されていますが、それを身につけるためにどのようなことを実際にしていますか?
・「小学校から大学まで」どころか、「社会人になっても」というか、「死ぬまで」ではないでしょうか?
・サックシュタインさんが挙げている4つの問題以外には、何が考えられるでしょうか?
この後に、CASELの「自己管理」の定義も次のように紹介してくれています。
さまざまな状況下で、自分の感情、思考、行動を効果的にコントロールし、目標や願望を達成する能力。これには、個人や集団の目標を達成するために、目先の満足にとらわれないこと、ストレスの管理、そして、やる気や行動力をもつことが含まれます。
まさに「自律」の定義でしょうか?
ちなみに、私がいつも気になるのは、「自律」と「自立」の違いです。考えたことのある方、両者の違いに興味のある方は、その違いについて(pro.workshop@gmail.com宛に)教えてください。
この後に、サックシュタインさんは次のように書いています(106ページ)。
これらのスキルが、あなたの学習スペースでどのように現れるのかについて考えてみましょう。もし、生徒たちがさまざまな状況下において、自己管理する方法を特別に教えられていたとしたらどうでしょう? そして、うまくできない場合に叱られるのではなく、克服するためのさまざまな方法を学べたとしたどうでしょうか?
もちろん、一般的な生徒にも効果はありますが、自己管理スキルは、周囲に圧倒されやすく、気持ちの区切りが苦手な、不安の大きい生徒にも有効です。たとえば、クラスではよい成績を収めていても、成績や進学、就職など、人生を左右するような重要な試験や評価では苦戦するといった生徒です。自己管理スキルを分かりやすく教えれば、生徒の自信を高め、目標を達成する能力も高まります。
いいこと尽くめと思いませんか?
自己管理スキルの向上を促進し、教室内外における学習を整える方法として、サックシュタインさんは以下のような内容について紹介してくれます(次回以降、それぞれを取り上げていきますので、ご期待ください!)。
1時間の管理
2プロジェクト学習
3マインドフルネス
4ストレスの管理
5自己管理のためのその他の方法
6宿題と自己管理
これらを扱うことによって、サックシュタインさんが目指しているのは、生徒が学習のオウナーシップ(当事者意識)をもてるようにすることです。