長い夏休みを終えた子どもたちは、いろいろな気持ちを抱えながら教室へと戻ってきます。すべての子どもたちが一個人として尊重され、安心して学べる場をつくる一助として、「バラと棘」という活動を紹介します。
「バラ」は、よかったこと、「棘」は、悪かったこと、を示しています。この場合、呼び方はよかったこと・悪かったこと、プラス・マイナス、山と谷や、子どもたちにわかりやすい例えを使うのもよいと思います。
この「バラと棘」では、単純に子どもたち一人ひとりの夏休み中の「バラ」と「棘」を聞くものです。
子どもたちは、自分でどんなことを取り上げるか決めます。単に「天気がよかった」とか、「疲れた」と言う子どももいれば、より個人的なこと、「宿題が全部終えることができた」「犬が元気がなくて心配」といったことをシェアする場にもなります。
一人ひとりの「バラと棘」を聞くことで、子どもたちは、自分たちが気にかけられているのだと感じて新学期を迎えることができます。シェアしたくない子どもはスキップしてもよいですが、一人ひとりの声を聴く機会を設けることが大切です。
よかったこと、悪かったことを聞くことで、周りの人は、発言者の心の状態に気づくことにもつながりますし、教師は、子どもたちの心が、学びにつながる落ちついた状態であるかを確認でき、新学期の個人の状態を慮りながら新学期に接することができます。
そして、この活動を通じてクラス全体では、自分との共通性や相違を発見し、会話のきっかけになるばかりでなく、ほかの人に耳を傾けたり、順番に話したりするグループ活動の規範も確認できます。
進め方の留意点
一人ひとりの発言を尊重する。「ありがとう、○○さん」と言ってから次の人に移る。
活動の後にバラと棘がそれぞれどのように学びに影響するか、考える時間をとる。大きな棘をもったクラスメイトをどうサポートするか、生徒にブレインストーミングさせる。
教師も自分のバラと棘をシェアし、脆弱性を見せる。「前学期のレポートのフィードバックが間に合わなくて焦っている」など。
時間に制約がある場合は、それぞれ3語以内で発言する、というように、一人ひとりの時間を短縮したり、小さなグループになって行ったりする。
気がかりなことをシェアする子どもがいた場合に備えて、教師・クラスメイトとしてどのように対応するのか予め考えておく。教師が個別に対応することが多いが、場合によっては、学級全体の話し合いや、グループでのサポートなども考慮する。
この活動は、週の初めや一日の初めの活動の子どもたちの状態を確認するためにも取り入れることもできます。継続的に行っていくことで、自分と他者の感情に向き合う機会となります。また、この活動に慣れてきたら、「バラのつぼみ」ー最近楽しみにしていること、を加えたり、子どもたちに別のお題を考えてもらうのもよいでしょう。
子どもたちが、自分たちが気にかけられ、尊重されている、自分たちの声が届くと感じられる機会を設け、コミュニティをつくり、深めていくための活動としてぜひ実践してみてください。
参照
A Simple but Powerful Class Opening Activity | Edutopia
https://www.edutopia.org/article/simple-powerful-class-opening-activity/
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