本のタイトルは、『SELを成功に導くための五つの要素』。
サブタイトルは「先生と生徒のためのアクティビティー集」ですから、本で紹介されている活動の数がすごいです!
以下の図が、本の内容を表しています。メインの部分は、幹の部分です。
訳者がこの本を日本の先生たちに紹介したかった理由が、訳者まえがきに書かれているので紹介します。
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日本中の学校で、毎日子どもたちと先生が幸せな気持ちで過ごせるように具体的な支援をしたい。これが、私たちがこの本を翻訳した動機です。
本来、教育とは、子どもの成長を日々実感できる喜びあふれる仕事です。けれども、教育現場は多くの批判にさらされ、先生たちは「世界一長い」と言われる労働時間と複合的な職務に疲弊し、その状況に若者は教職の魅力を見いだせずに教員志望の学生が減少しているほか、現職の教員も教職を離れる数が増えつつあり、慢性的な教員不足が続いています。
本文でも紹介されている研究結果ですが、生徒の学びと成長に最も影響を与えるのは「教師」です。教科書でも、授業時数でも、一クラス当たりの生徒数の少なさでもありません。この共通合意は、日本においても必要とされることだと思います。
子どもの成長に最も大きな影響を与える「教師」が心身ともに健康で、幸せで、自己を見つめ、振り返り、教育への情熱とエネルギーを存分に発揮し続けられる状態が、子どもたちの豊かな成長と幸せを導きます。
鍵となるのはSEL(Social
and Emotional Learning=社会性と感情の学習)です。SELには、よい人間関係をつくるための社会的な力と、自分や他者の感情を受け止めて対応する力を育むことが大切な柱として含まれます。
教室でどのような学びを実現できるかは、クラスをどのようにして安心して学べる「学びのコミュニティー」にできるかにかかっています。それができるのは教師だけです。安心して学べる環境とよい人間関係が整えられて初めて、深く学ぶことも学力向上も可能となるのです。
それでは、クラスを学びのコミュニティーにするにはどうすればよいのでしょうか。そのためには、SELをクラスの成長発達の様子をとらえながら、段階的に、適切に進めることが大切です。SELは、体系的かつ段階をふまえて適切に実施することが大切なのですが、本書の目的はその実践を支援することです。
本書では、クラスをコミュニティーにするために大切な「SELの五つの要素」を、先生と生徒が段階的に実践できるように詳しく紹介しています。とくに、先生自身が心を豊かにするためのアクティビティー(活動)が豊富に描かれているところが大きな特徴となっています。
日々の成長のみならず、子どもたちの将来も先生にかかっているのです。社会に出る前に、学校において子どもがみんなと教育を受けられる間に、安心して仲間とつながって協働し、挑戦し、信頼しあうといったことが豊かに経験できれば、他者や社会への信頼や関係性を築く力を育むことができますし、そのかけがえのない経験によって、その後の人生を豊かにすることができます。
真の教育実践とは何か、ということについて本書は、先生が「教師のなかにある最高の資質を養い、教師としての自分を成長させ、自己認識力を高め、ストレスに対処し、生徒と素晴らしい関係を築き、今まで感じたことのないような、もしくは一度なくしてしまった『教育への情熱』を感じること」と位置づけ、そこに至る具体的な方法を詳述しています。
ぜひ、一人からでも、できれば仲間とともに、計画的にSELに取り組んでみてください。先生自身がまず教えることの喜びと意義を実感し、先生にしかできない「信頼しあえる仲間づくり」という重要な課題を探究しながら、「子どもたちの幸せな毎日」を教室で実現されることを願っています。
★なお、本書以外の3冊は、https://selnewsletter.blogspot.com/2023/06/sel.htmlですでに紹介してあり、すべてSELの違った側面をフォーカスしているのでお勧めです。
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