2024年8月18日日曜日

新学期の準備ー居場所を感じられ、集中して学べる環境をつくる

  

 近年のさまざまな研究で教室のデザインが学びに大きな影響があることがわかってきています。担任の教師が変えられないものも多くありますが、簡単かつ効率的に教室で子どもたちが学びやすい環境をつくることも可能です。新学期を迎える前に、どのような環境で子どもたちが学びやすいか、学んでほしいか考えてみるのもよいかもしれません。

2024年8月3日土曜日

スポーツ+遊びとSEL

 皆さんは、最近寝不足になっていませんか?

 そうです、パリ・オリンピックを見るために。

 個人的には、年と共に、あまり見なくなっているので、寝不足の問題はありません。

 また、スポーツは見るもの以上に、するものだとも思っています。

 そこで、今回はSELという観点で、スポーツ(と遊びも)を見てみたいと思います。

 まずは、https://mobilecoach.teamusa.org/page/5103/connection-based-coaching/18629/about-connection-based-coaching をご覧ください。動画で話されていることは、すべて画面に表示されています(から、本文を翻訳ソフトに入力して訳してください)。アメリカはオリンピックを活用して参加者(子どもたち)のSELスキルを磨くことに乗り出しています! 何といっても、パリの次はロサンジェルスですから。

 次はオリンピックとは関係なく2020年の10月にアップされた動画https://www.edutopia.org/video/using-athletics-teach-social-and-emotional-skills を見てください。言葉はあまりわからなくても、感じはつかめると思います。何が話されているのかを知りたい方は、動画の下の「View transcript」をクリックすると、話されている内容が読めます。これを翻訳ソフトで訳してください。(あるいは、YouTubeの画面の下にある歯車アイコンの「設定」を操作することで、日本語字幕に換えられます。まだ翻訳ソフトの精度は7~8割程度ですが、意味は十分に通じます。)

 スポーツは、子どもたちのSELスキルを磨くとてもいい機会であることがわかります。それなら当然、学校での体育の授業でもSELをと考える方には、

https://www.edutopia.org/article/sel-possibilities-physical-education

https://www.edutopia.org/article/setting-sel-program-physical-education-classes がお勧めです。

 もう一つのテーマの遊びに移ります。

 『遊びが学びに欠かせないわけ』の第8章のタイトルは、「社会的・感情的な発達に果たす遊びの役割」です★。まさに、SELの各要素が磨かれることが明らかにされています。

その最初のページに、「大人たちから離れて、他の子どもたちと遊ぶことで、子どもは自分で判断し、自分の感情や衝動をコントロールし、他者の視点で見られ、他者との違いを乗り越え、そして友だちになることを学びます。要するに、遊びによって子どもたちは自分の人生をコントロールすることを学ぶのです」(206ページ)と書かれています。私たちは、この大切な機会をドンドン減らしていないでしょうか?

 そして、『遊びが学びに欠かせないわけ』の著者は、遊びとしてするスポーツと大人によって指導されるスポーツを比較しています(以下は、206~7ページの引用です)。

昔はよくやっていた草野球を思い描いてください。誰か一緒に遊べる仲間がいることを期待して、多様な年齢の子どもたちが空き地に集まってきます。歩いてくる子、自転車でくる子、一人でくる子、何人かと誘い合ってくる子といろいろです。そして、バットを持ってくる子、ボール(それも、本物の硬球ではありません!)を持ってくる子、そして野手用のグローブを持ってくる子もいます。そして、遊ぶのに十分な人数になったので、始めることになるのです。信頼のあるもっともいいプレーヤー二人が双方のチームのキャプテンになり、自分のチームのメンバーを順番に指名します。その後に、帽子、フリスビー、サイズが合いそうなものなら何でも使って、ベースを配置します。もしすべてのポジションを埋めるには人数が足りない場合は、何とかやりくりします。子どもたちに何をどうしたらいいのかを教えてくれたり、問題が起こったときに解決してくれたりする大人はいません。自分たちですべてをやらなければなりません。このような野球の仕方は、まさに「本物の遊び」です。何をどうするかはすべて子どもたち自身によって決められ、運営され、そして何かの報酬のために行われるのではなく、野球を楽しむためだけに行われます。

 今度は、リトルリーグの野球を思い描いてください。手入れが行き届いたグランドで行われます。それは、プロの選手たちがプレーするグランドのミニ・バージョンです。遠くからくる子もいたり、親たちがサポートをしたりしているので、子どもたちの多くは親に車で送ってもらっています。自分の子どもを見守り、チームに声援を送るために、多くの親が練習や試合を見るのにとどまります。継続して行われるリーグなので、誰がレギュラーで誰が控えかは事前に決まっています。それぞれのチームには、大人のコーチや主審がいます。公式な成績がつけられ、勝ち負けの記録によってシーズンの優勝チームが決まります。本当にそこでプレーしたい子どもたちもいますが、中には親におだてられたり、押し付けられたりした子どももいます。

遊びとして行われる非公式で自主的な草野球やその他のスポーツは、公式で大人によって指導されるスポーツでは得られない貴重な教訓があります。以下に紹介するのは、どんな人でも得られる大事な五つの教訓です。

教訓1・試合を続けたければ、全員を満足させ続けなければならない。

教訓2・ルールは修正可能で、プレーヤーたちによってつくられる。

教訓3・対立は、話し合い、交渉、妥協で解決する。

教訓4・あなたのチームと相手チームの違いは一切ない。

教訓5・よいプレーをして、楽しむことの方が、勝つことよりもはるかに重要。

これらについては、207~214ページで詳しく論じられています。

 以上のことからも、遊びの価値が明確です。そして、学校や大人によって指導されるスポーツも、これらをできるだけ補う必要性をわかっていて、かつその方法をもっている指導者がいないと、せっかくのチャンスを逃していることになります。だからアメリカでは最初のURLで紹介した「SELについて100万人のコーチをトレーニングする取り組み」をスタートさせたのです。

★この章以外でも、遊びと学びについて多面的に捉えた本(=学校の在り方を根本的にとらえ直す本)になっていますので、ぜひご一読を! https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0731224 で、詳しい目次が見られます。