なぜ、私がこの本の惹かれたのかを発売されてからほぼ1年たってから、ようやく気づきました(おそらく、まだ気づいていないことは、他にもいろいろあると思います!)。
『「しない」が子どもの自力を伸ばす』を出す前に、https://selnewsletter.blogspot.com/2023/06/sel.htmlで紹介している4冊のSELをメイン・タイトルないしサブ・タイトルに掲げた本を出していましたが、それらよりも、SELの本質を「理論」(やエクササイズ=取り組む活動として)ではなく「人間の営み」として捉え、そして極めて豊かに描いているからです。なので、SELという言葉を一切使っていないのですが、SELの核心に触れる示唆がむしろ濃いのだと思います。なので、ぜひ、ご一読を!
SELの文献は、自己認識、自己管理、社会認識、関係構築、責任ある意思決定といったスキル分類を前提に語られます。それに対して、『「しない」が子どもの自力を伸ばす』は、
- マヤ族の子育て
- イヌイットの怒りの扱い方
- ハッザベの協力の文化
- 大人が「しない」ことで生まれる自発性
といった実際に暮らしの中で行われている文化的な営みとして、子どもの感情調整・協力性・主体性がどう育つかを描いています。つまり、SELの「結果」を、文化の中で自然に育つプロセスとして描いているのです。しかも、著者のサンフランシスコでの暮らしに代表される西欧社会のそうした自然に育つ環境が失われてしまった現実との対比のもとに。
要するに、SELの理論と実践が目指しているものを、『「しない」が子どもの自力を伸ばす』は理論化される前の「生きた実践」として示してくれているのです!
ということで、SELに興味をもたれる先生は、https://selnewsletter.blogspot.com/2023/06/sel.htmlの一冊から読み始め(て実践す)るという選択肢がありますが、一方で『「しない」が子どもの自力を伸ばす』から読み始めて、それらをSELの5領域(自己認識、自己管理、社会認識、関係構築、責任ある意思決定)にマッピングしてみるというエクササイズをするところから始めると、より効果的な実践になると思います。(前者のアプローチは、SELという名の「介入」「急かさす」「先回り」をやらかす危険性をはらんでいます! https://x.gd/gLNIdを参照ください。)
後者のアプローチは、(赤ちゃんを教室に招くようなプロジェクトの代わりに)中学生以上であれば生徒対象に使えるかもしれません。全部の章を読むのが大変なら、1章に限定して、読みこんだ後に、生徒たちにマッピングしてもらうのです。
その結果は、たとえば次のようなものになるかもしれません。
1. 自己認識
『「しない」が子どもの自力を伸ばす』で対応する要素例:
- 大人が「急かさない」「先回りしない」ことで、子どもが自分の感情・欲求・ペースを感じ取れる
- マヤ族の子どもが「自分は家族の一員として役に立てる」という自己概念を自然に形成する
- イヌイットの子どもが、怒りを“外から観察するもの”として理解する文化
要点: 大人が介入しないことで、子どもは自分の内側を感じる時間を取り戻す。
2. 自己管理
『「しない」が子どもの自力を伸ばす』で対応する要素例:
- イヌイットの「怒らないで教える」文化
- 大人が「しない」ことで、子どもが自分で衝動を調整する機会が増える
- ハッザベの子どもが、自然の中でリスクを自分で判断しながら行動する
要点: 大人がコントロールしないからこそ、子どもは自分で感情・行動を調整する力を育てる。
SELの残りの3領域についても、同じことができます。
このエクササイズから、SELの5領域はもともと「人間が文化の中で自然に育ててきた力」を体系化したものだと気づけます。『「しない」が子どもの自力を伸ばす』は、その「自然な育ち」を文化人類学的に描いてくれているのです。だら、SELという語を使わなくても、
SELの核心を最も生き生きと描いている本の一つになるわけです。
もしあなたが、そのような本を他にもご存じでしたら、pro.workshop@gmail.com宛に、ぜひ教えてください。
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