2026年6月20日土曜日

心を乱すきっかけに振り回されず、レジリエンス/しなやかさを育てる

 教師は毎日、本当にさまざまな課題に直面します。ときには疲れたり、苛立ったりすることもありますが、私たちはその課題への“反応の仕方”を選ぶことができます。たとえば、指示に従わない生徒への対応、授業開始5分前に怒った保護者が話を求めてくる場面、あるいは教室のうまくいっていない点ばかりを指摘する管理職への向き合い方などです。自分が他者にどう反応しているかを見つめ直すことで、私たちは感情的なレジリエンス(しなやかさ)を高めることができます。

 

自分のトリガーに名前をつける

私たちには誰しも、心をざわつかせたり、感情を揺さぶったりする相手がいます。そうした「トリガー(引き金)」が引かれると、私たちは苛立ち、怒り、悲しみ、恥ずかしさなど、さまざまな不快な感情を抱くことがあります。
 そしてその感情に押されて、議論や口論に踏み込んでしまったり、後で「言わなければよかった」と思うことを口にしてしまったり、恐怖で固まってしまったり、場から逃げるように立ち去ってしまうこともあります。

少し時間をとって、自分の「トリガーを引く人(心をざわつかせる人)」は誰かを考えてみましょう。たとえば、あなたの判断にしつこく異議を唱えてくる保護者かもしれません。あるいは、学校にも来ず電話にも出ないのに、校長にはあなたへの不満を伝える保護者かもしれません。もしかすると、目をくるっと上に向けてみせる10代の女子生徒や、何でも知っているような態度をとる男子生徒に心をざわつかせられるかもしれません。生徒たちのある集団について、ぞんざいな発言をする同僚や、現場の声を聞かないトップダウン型の管理職が自分のトリガーの引き役になっているかもしれません。

振り返ってみると、「自分にはトリガーがたくさんある」と感じるかもしれません。それでも大丈夫です。誰にでもトリガーはありますから。
 それらを見えないところに押し込めたままにせず、「これが自分のトリガーだ」と意識化して名前をつけていくことが、あなたに与える悪影響を減らしていくための、最初の一歩になります。

 

自分のトリガー(引き金)を理解する

 次に、自分のトリガーについて「好奇心をもって」探ってみましょう。自分のトリガーをシャーレ(培養皿)にそっと移して、じっくり観察するようなイメージをもつとよいかもしれません。それを人生のどこまで遡れるかたどってみて、どこに起源があるのか探ってみましょう。

トリガーの中には、幼少期や思春期の経験に根をもつものもあります。たとえば私は、中学生の頃に仲間外れにされた経験があるため、今でも「仲間内で誰かを排除するタイプの女子中学生」を見るとトリガーが引かれてしまいます。

また、トリガーの一部は、私たちの価値観信念に由来します。たとえば、「すべての子どもは学べる」という強い信念をもっているとします。そんな中で、ある同僚が特定の子どもたちを見下すように「まあ、あの子たちはいつもこうだからね」と言ったとしたら、私たちは強く反応してしまうかもしれません。あるいは、「努力すれば学校は変えられる」という信念をもっている場合、毎日3時半にさっと帰る同僚を見ると、「本気で取り組んでいるのだろうか」と感じ、心がざわつくこともあるでしょう。

 

自分の反応を認める

トリガーの源に気づいたら、次はトリガーが引かれたときに自分がどんな行動をとっているかに目を向けてみましょう。あなたは「戦う(反論・対立する)」「逃げる(距離を置く・場を離れる)」「固まる(言葉が出ない・動けなくなる)」のどれに近い反応をしているでしょうか?

そして、その反応が周囲との関係にどんな影響を与えているかも考えてみてください。同僚、生徒、管理職――トリガーに押された状態で反応すると、関係性はどう変わるでしょう。

さらに、その反応によって本当に望んでいる結果が得られているかを自分に問いかけてみましょう。たとえば、「中学2年生の女子同士の関わり方を変えたい」「同僚の子ども観を変えたい」といった願いがあるとして、今の反応の仕方はその実現に近づけているでしょうか?

もし「うまくいっていない」と感じるなら、この先を読み進めてください。

 

新しい行動を探る

自分のトリガーを理解しようとすると、つらい記憶が浮かび上がってくることもあります。しかし、その出どころを特定できることは、同時に大きな力にもなります。気づきがあることで、気づきがなかったときとは違う行動を選べるようになるからです。

教師として、私が自分の中学生時代の経験と、教えている女子生徒たちに対して抱いていた感情がつながったとき、「私は今、11歳の自分として反応しているのではなく、教師として応じる必要がある」と気づきました。

その気づきによって、私の行動は「教育者としてこうありたい」という自分のビジョンに、より深く一致するようになりました。そして、生徒たちと「クラスのコミュニティーをどう築くか」「どうすれば誰も排除しない関係をつくれるか」といった対話ができるようになったのです。

 新しい行動を選べるようになるためには、まず、トリガーが引かれたその瞬間に介入する方法が必要です。そうしないと、いつもの非生産的な反応パターンに流されてしまうからです。

自分のトリガーについて探究しておくと、この「瞬間」に気づきやすくなります。心の中で、こんな声が聞こえるかもしれません。「あ、これが私のトリガーだ! 先週振り返ったよね――授業開始5分前に教室に押し入って話を求めてくる保護者に、私は強く反応してしまうって。」

トリガーに早く気づけるようになり、その根っこも理解していると、どう反応するかを選べるゆとりが生まれます。その際に試せることには、次のようなものがあります。

・深呼吸を3回する。

・セルフトークを使う:「こんにちは、トリガーさん」

・自分が道の分岐点に立っているところを思い描き、それぞれの道に“選べる反応”が並んでいる様子をイメージする。そして、「どの反応を選ぶかは自分で決められる」と思い出す。

 

 トリガーに気づき、反応する前に一拍置くには、練習が必要です。多くの人にとって、それはすぐにできるようになるものではありません。しかし、トリガーに気づき、反応の仕方を育てていくことで、これまでとは違う行動を選べるようになります。そうすることで、あなたが本当に達成したい目標に近づきやすくなり、そして、気持ちも少し軽くなるかもしれません。

 

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 これまでとは違った選択ができるようになることが、レジリエンス(しなやかさ)を高めるということでしょうか?

 

出典・https://www.edutopia.org/blog/boost-your-resilience-managing-emotional-triggers-elena-aguilar

この投稿は、『教師のためのアート・オブ・コーチング』の著者のエリーナ・アギラーさんによって2015年の11月2日に書かれたものです。

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