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2023年9月16日土曜日

デザイン思考で、難題の解決・改善に迫る (アプローチ3)

 「車椅子やベビーカーユーザーの優先/専用エレベーター問題」のような(正解が一つではなく、多様にあり得る)難題に挑戦するための三つ目のアプローチは、デザイン思考です。それを、小学校を含めた学校教育に導入するための本としてhttps://projectbetterschool.blogspot.com/2021/05/blog-post_16.html で紹介している『教室におけるデザイン思考』があります。(残念ながら、この本の翻訳は2年以上前に終わっていたにもかかわらず、版権の取得ができず、どういうわけか版権を取得した出版社も、いまだに邦訳が出せていないという悲劇が続いています!)

 以下で紹介するデザイン思考の内容は、その本のなかから下訳したものを原書のページ数をつける形で示します。

 

●デザイン思考とは

 「デザイン思考はなぜ重要か?」という第1章のはじめて、「デザイン思考によって、生徒はどんな種類の問題や状況に対しても、地域や世界を変革する主体となり、デザイナーのように対応できるようになるのです。デザイン思考は人間中心の方法であり、すべての人がデザイナーのように考え、行動できるようにする手立てとツールを提供することによって、デザインのプロセスを一部の人たちだけのものではないように民主化します。ここで言う『デザイナー』とは、状況や経験を改善したり、特定の問題を解決したりするために思考し、計画し、行動するうえで、デザインのプロセスや方法を用いる人を指しています。デザイン思考のプロセスは、共感、定義、発案(創造)、試作(プロトタイプ)、テストという5つのフェーズ(局面)からなっています」(24ページ)

 これを図化すると、以下のようになります。 


 「デザイン思考のプロセスはすべて、共感のための活動から始まります。共感活動によって、デザイナーは、自分がデザインする作品や解決策を利用するユーザーである人々を深く理解します。デザイナーは、問題を解決したり、ユーザーの経験を改善したりするための効果的な解決策をデザインすることを目指して、ユーザーのニーズを学」(25ページ)ぶのです。

 このデザイン思考を世に広めた会社IDEOの社長のティム・ブラウンの定義を活用しながら、著者は教室でのデザイン思考を次のように定義しています。

 「デザイン思考は、人間中心で探究中心の学習支援と、イノベーションを好むマインドセットとの統合です。そこでは生徒は教科横断的な知識・スキルを創造的な実践に活用し、共感的な気づきを協働で発見し、斬新なアイディアを生み出して探究し、目に見える成果をつくり出し、それをテストし、改良します。デザイン思考は、人々の(あるいは生徒自身の)生活に意味ある変化をもたらし、実社会の経験を改善し、複雑な問題への解決策をつくり出そうとする、勇気ある努力なのです」(28ページ)

 そして、スタンフォード大学のデザイン研究所のdスクールは、そのなかにK12ラボと呼ばれる幼稚園年長から高校卒業年度までを対象にしたプログラムもつくりました。これらの年代の生徒たちも、そしてその教師も身につける必要のある6つのマインドセット(考え方)を明らかにしています。それは、①人間中心、②プロセスの自覚、③試作品・試作案づくりの文化、④まずやってみるという気持ち、⑤言うのではなく、見せる、そして⑥根本的な協働です(34ページ)。これらは、どれをとっても、従来の教え方・学び方とは逆さまと思わされます。さらに、デザイン思考の取り組みを成功するのに必要なマインドセットとして、⑦創造力に対する自信、⑧創造的であろうとする勇気、⑨成長マインドセット、⑩初心者マインドセット、⑪「解放のデザイン」ともいえるようなマインドセットが挙げられています(38~43ページ)

 

●最初の段階の共感フェーズ

 デザイン思考全体に関する前段の部分が長くなりましたが、それでは最初のフェーズの「共感」の説明に入ります。『教室におけるデザイン思考』(原書名:Design Thinking in the Classroom)のなかで、もっともページ数が割かれているのがこの章であることからも、その重要性が伺われます! 著者は、この共感フェーズについて、次のように説明しています。

 「共感フェーズでは、生徒はデザインの対象を使う人々と、今後のデザインプロセスの大筋について中心に学びます。このフェーズが、デザイン思考を人間中心的なものとしています。このフェーズにおいて、生徒はユーザーのニーズと要望を深く理解します。ユーザーとは、生徒のデザイン活動が問題を解決し、実社会での経験を改善するためにつくりだした成果を利用する人たちのことです。共感の活動で、生徒はユーザーの感情や価値観や経験を知り、理解し、総合し、共有しようとして特定の行動をとります。ティム・ブラウンは共感の活動を、『他者の目を通して世界を観察し、他者の経験を通じて世界を理解し、他者の感情を通じて世界を感じ取る努力』(同書、p.68)と記しています。

生徒はインタビューや観察、現場に入っての経験や調査を行うことによって、共感をもつことができます。こうした共感の活動を行うのは、特に年少の生徒にとっては大変なことです。しかし、実践を数多く重ね、さまざまな方法を用いることによって、生徒は自分たちのデザインにとって役立つ気づきを得られるようになります。そうした気づきによって、生徒が物事を新しい光のもとで見ることができ、現在のアイディアや、実践、手順を見直し、ユーザーのふるまい方が説明できるようになります。こうした予期しなかった発見に示唆をうけて、デザイナーは革新的な解決のための新しいアイディアを開発することができるのです」(49~50ページ)

 

●共感を可能にするための具体的方法

 そして、それを実現する方法として(それらはすべて、大人たちも実際に使っている方法なのですが)、

 ・インタビュー

 ・観察

 ・イマージョン

 ・調査

の4つについて詳しく紹介しています。

 インタビューに関しては、それをするときの原則として、次の点に注意をするように促しています(60ページ)。

・広がりをもった質問と「なぜ?」の質問をする。

・物語を引き出す。

・インタビューするのではなく、いっしょにお話しをする感じで話す。

・よく聴き、自分の評価を加えない。

・詳しくノートをとる。

・質問の展開と順番をよく考える。

 観察は、生徒が「ユーザーは何をするのか、どのように活動するのか、どうして特定の仕方でそうした活動を行うのか、そして、ユーザーができないことは何か、といったことを観察します。質的要素に着目するこの種の実地調査で観察されるユーザーの活動、行動、感情は、生徒が気づきを得る手助けになります。したがって、ユーザーがデザイン活動の成果を用いたり、経験したりする実際の環境を生徒が訪れて、そうした環境の中にいるユーザーを観察することが非常に重要です」(62ページ)

 3番目の共感活動は「イマージョン(浸っている状態)」です。イマージョンとは、ユーザーが経験していることの中に自分の身をおくことです。つまり、自分たちのデザイン活動の全体像をよく理解するために、生徒はユーザーがしていることを自分たちもしてみるのです。(64ページ)

 最後の、「調査」は共感活動のための重要な方法であり、すべてのデザイン思考のプロジェクトにおいて、もっとも多く使われています。調査は、生徒がデザイン活動と、デザインの成果を使用するユーザーについての情報を得るためのすぐれた方法です。まず、生徒に、ウェブサイトや本、ビデオ、教育ゲームなどの、デザイン活動を効果的に行うのに必要な知識やスキルが得られる情報源を提供します。これらの情報源は、共感フェーズだけでなく、他のすべてのフェーズでも、すぐに利用できるようにします。(67ページ)

 「車椅子やベビーカーユーザーの優先/専用エレベーター問題」など現実に存在する困難な問題を解決・改善しようとする際に、どのようにアプローチしたらいいか、以上の説明で少しはイメージがつかめたでしょうか? この共感フェーズは、https://selnewsletter.blogspot.com/2023/06/pbl.html(アプローチ2で紹介したPBL)でも、そのまま使えるというか、使うべきステップです。

 

★難題や複雑な問題とSELとの関係に最初に触れたのは、https://selnewsletter.blogspot.com/2023/05/sel.htmlです。その記事から、スピンオフで「共感シリーズ」と「難題や複雑な問題への対応シリーズ」がはじまりました。

2023年6月3日土曜日

PBLで世の中の難題の解決・改善に迫る(アプローチ2)

  「車椅子やベビーカーユーザーの優先/専用エレベーター問題」を含めて、世の中の複雑な問題を解決・改善するための2番目のアプローチとして紹介するのは、PBL(プロジェクト学習とプロブレム学習)です。

https://wwletter.blogspot.com/2021/08/wwrw.html および

https://wwletter.blogspot.com/search?q=PBL

https://projectbetterschool.blogspot.com/search?q=PBL

 

 どちらも、SELと(教科を統合する形で)問題解決学習を同時に実現する教え方・学び方です。教科をブツ切りに教えられるよりも、子どもたちははるかに喜ぶ(だけでなく、主体的かつ身につく)学び方です。

まず、次のSELPBLを比較した表をご覧ください。

 これだけでも、両者が密接な関係にあることがお分かりいただけると思います。いずれかを実践するということは、もう一方も同時にしていると言えそうです。★

 https://spencerauthor.com/the-powerful-combination-of-pbl-and-sel/★★のなかには、いくつかの見ごたえのある動画と聞きごたえのあるポッドキャストがあります。(最初に紹介した表も、そこで紹介されていたので知りました!)


 もう10年以上前になりますが、グーグルが2つのプロジェクト(プロジェクトOxygenとプロジェクト・アリストテレス)を通して、SELの重要性を証明しました。

プロジェクトOxygenは、理想のチーム・リーダーの資質を明らかにしたものです。8つの資質がリストアップされましたが、そのほとんどすべてが「ソフト・スキル」、つまりSELのスキルでした。一方、プロジェクト・アリストテレスは、2012年にGoogleが発表した企業向けリサーチです。プロジェクトの目的は、生産性の高い「効果的なチームの条件」を調査して、定義づけることでした。発見したことは、真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」よりも、「チームがどのように協力しているか」であることを突き止めています。そして具体的には、次のような条件が大切だと!(これらも、ほぼすべてSELのスキルと言えそうです!)

1)心理的安全性 ~ 対人関係においてリスクある行動を取った時の結果に対する個人の認知の仕方。
2)相互信頼 ~ 相互信頼の高いチームのメンバーは、クオリティの高い仕事を時間内に仕上げる。(これに対し、相互信頼の低いチームのメンバーは責任を転嫁する)
3)構造と明確さ ~ 効果的なチームを作るには、職務上で要求されていること、その要求を満たすためのプロセス、そしてメンバーの行動がもたらす成果について、個々のメンバーが理解していることが重要になる。
4)仕事の意味 ~ チームの効果性を向上するには、仕事そのもの、またはその成果に対して目的意識を感じられる必要がある。
5)インパクト ~ 自分の仕事には意義があるとメンバーが主観的に思えるかどうかは、チームにとって重要である。

 ある意味では、ソフトウェア等を中心にした企業の多くは、プロジェクトで仕事を常に動かしていると言えます。その意味でも、その練習として学校にいる間にプロジェクトに取り組む形でプロジェクト学習に取り組むことは価値が大きいわけです。(もちろん、理由はほかにもたくさんありますが、なかでもその筆頭は、従来の学び方では記憶に残らない/身につかないのに対して、プロジェクト学習は生徒たちの主体性の度合いが比較にならないほど高いので、身につく/記憶に残るレベルも格段に高くなります。)なお、PBLとして知られるもう一つのプボブレム(問題解決)学習や、探究学習、デザイン思考は、基本的に同じです。いずれも、探究のサイクル、問題解決のサイクル、デザイン思考のサイクルを回し続ける形で学びます★★★。これらについて詳しくは、『あなたの授業が子どもと世界を変える』『だれもが科学者になれる!』『プロジェクト学習とは』『PBL~学びの可能性を開く授業づくり』を参照ください。どれも、サイクルが描かれる形で説明されています。


SELPBLの表の出典は、https://www.michaelkaechele.com/marriage-of-sel-and-pbl/

★★このサイトの運営者が『あなたの授業が子どもと世界を変える』の著者でもあり、その本の中で、このURLで紹介されている内容が詳しく紹介されています。

★★★1~2回、回す程度ではやらないのと同じです。繰り返し回して、習慣化することが大切です。それほど大切なものですから(ほかの多くのことを忘れても、これだけ身についていたら、世の中ではかなりのことが達成できるぐらいに!)。 なお、デザイン思考については、次回紹介します。 

2025年3月1日土曜日

授業を通して、学習気質★が身につけられるようにする

今回は、https://selnewsletter.blogspot.com/2024/11/blog-post.html の第6弾です。

スター・サックシュタインは、『成績だけが評価じゃない』のなかで次のように書いています(68ページ):

学習目標が達成できる学習者の具体的な特徴を生徒に知ってもらうことは、成長マインドセットを身につけるうえにおいてとても重要です。目標が達成できる学習者は、普段どのような行動をとっているのでしょうか? 生徒がそのような行動を実践して、自分自身のものにするために、どのように指導すればよいのでしょうか? その一つの方法が、教科の学習や感情と社会性(後者はSELのこと)の成長に直接関係している「学習気質」の力を利用することです

 この後、サックスシュタイン氏は、同僚のブルームバーグ氏が書いた論文を引用しながら、4種類の「学習気質」とブルームバーク氏個人「学習気質」に関する体験談を紹介してくれています。

 そのなかで一番分かりやすいのは、すでに日本語にもなっている「学習気質」を「思考の習慣」と同じものと捉えるアプローチです。これは、『学びの中心はやっぱり生徒だ!』で紹介されている二つの柱の一方です。考え出した本人が紹介していますから、『成績だけが評価じゃない』で紹介されている内容よりも詳しくもあります。16種類の「思考の習慣」は、https://bit.ly/3XZmfbh で見られます。

 あなたは、これらは大切だと思いますか?

 どのくらいを、あなたの授業を通して生徒たちは身につけられていると思いますか?

 もし、まだあまり身につけられていないが、これらのほとんどは大切だと思う場合は、ぜひ『学びの中心はやっぱり生徒だ!』を読んで、それらを生徒に身につけてもらうステップを歩み始めてください。


 ブルームバーグ氏の「学習気質」に関する個人的な体験については、次のように書かれています(72~74ページ)。 

 (高校時代に)私が音楽を学んでいたころは、協奏曲のような難しい曲でも我慢して演奏できるようになるまで努力していましたが、幾何学の問題になると、一転してすぐに諦めていました。今にして思えば、当時の教師が私のことを受け入れてくれなかったり、「私にはできる」と信じてくれなかったことが原因だったのでしょう。

私にはできたはずなのです。もし、幾何学の教師が音楽の教師と話をする機会があれば、音楽の勉強において何年も困難に耐えて成功を収めていた私の姿を知ったことでしょう。私には、学習気質をつないでくれる「橋」が必要だったのです。

(中略)

歪んだ学習アイデンティティーをもっていると、うまく学ぶための力を低下させてしまい、困難な状況に置かれたときにうまく対処できません。多くの生徒は、自分の知識やスキルをある特定の場面では示せても、別の問題や新しい問題を解決するためにそうした知識やスキルを活用(応用/専門用語では、転移)するのが苦手です。

  (中略)

 ネガティブな学習アイデンティティーは、自分は相手にされていないと感じたり、疎外感を抱いたり(中略)と感じるような不公平な授業実践と学校方針によって強められてしまいます。たとえば、従来の成績評価では、失敗と成功のギャップを解消するために必要とされるフィードバックは生徒に提供されていません★★。

私が高校生だったころ、数学が苦手なのだという思いが、日々の授業における成績評価によってどんどん強くなっていきました。私が受けていたのは、小テストや課題、期末テストなどでした。

  (中略)

 もしかすると今、あなたの学校には、成績によって選別され、レッテルを貼られているシステムのなかにいるために「失敗した」と感じている生徒がいるかもしれません。そして、「苦手」意識や劣等感をもってしまっているでしょう。解決策が必要です!

 

 ブルームバーグ氏は、このような体験を通して、次のような結論を導き出しています(75~76ページ)。

問題を解決して、日常生活や仕事上での困難を乗り越えられるような回復力がある生涯学習者になれるように生徒を指導する、もしこれを目標とするのなら、生徒のなかに核となる学習気質を育てる必要があります。そして、思慮深く、自らについてよく理解し、必要な気質や関連する知的思考パターン(あるいは「思考の習慣」)の使用方法を知っている必要があります。そうすれば、困難は乗り越えられるのです。

生徒に学習デザインのプロセスに参加してもらい、学びの核となる学習気質の育み方をともに考えれば、生徒自身が納得し、オウナーシップ(当事者意識)が生みだせます。

生徒が学習のデザインプロセスに参加すれば、目標を達成してきた人はどのように考えて行動したり、感じたりしているのかについても学べます。気質に関する学習経験を一緒にデザインすることは、幼稚園から高校までの学校教育から高等教育、人生、そして職業面での成功体験において必要となる活用・応用力を育むためにも不可欠なのです。

 ウ~ン、これを実現するためには、ひたすら教科書をカバーする授業を教師ががんばって行い、教え終わった後にテストをし、点数や成績を生徒に知らせる方法は役立ちません。ぜひ、本書やサックシュタインさんの他の本や『学びの中心はやっぱり生徒だ!』を参考にしてください。

 

★この本では「学習気質」と訳しましたが、dispositionは他にも、「人となり、態度、性質、性向、特徴」などとも訳せます。

ちなみに、キャパシティー(capacities)は「その人の能力」や「その人ができること」を、dispositionは「その人の態度や性質/気質、さまざまな他の状況へのアプローチ(対応)の仕方」を指します。 

知人の中学校で英語を教えている先生が外国人のネイティブの先生に両者の違いを尋ねたところ、次のような例をわかりやすく示してくれたそうです。

「一緒にティーム・ティーチングをしていると、日本人のA先生の授業はすべて時間管理されていて、生徒に○○分と設定して、その時間どおりに授業が進んで行きます(キャパシティーの例)。一方、B先生は○○分と設定しても、生徒の様子をみて、フレキシブルに変えます(ディスポジションの例)。」

 なお「学習気質」は、文科省が大切にしている「主体的に学習に取り組む態度」とは似て非なるものです!(https://wwletter.blogspot.com/2023/11/blog-post.html を参照)

★★残念ながら、これがテストや通知表の実態と言えます!

2023年12月16日土曜日

問題行動への対処法(日米比較)

 生徒の問題行動が発生した場合の対処の仕方に、大きな違いが出始めています。

 問題行動には、大きくは二つのタイプがあります。一つは、授業妨害や教師の指示に従わない等の問題行動で、もう一つは、加害・被害がある場合です。今回は、前者に焦点を当てて、紹介します。

 

    授業妨害や教師の指示に従わない等の問題行動の場合

■日本での典型的な対処手順:

・当該生徒から話を聞く。教師は基本的に複数対応。

・何が起こったか、なぜそれをやったのか、その結果どうなったのか、などの事実の確認。

・当該生徒が自分の非を認めたならば、今後の方向性を確認。今後、何をするか、あるいは何をしないか、ということ。

・当該生徒の保護者に連絡。

 

アメリカでの対処手順:

 アメリカも最近まで日本での流れに近い形で行われていました。それも、担任(教師)がする代わりに、教頭の部屋に生徒が送られる形で。教頭の役割は、校則に従って罰則を科すというものでした。

しかし、それでは生徒たちは問題を再発しますし、問題行動を起こさないためのスキルが身につきません。そこで取り組まれるようになった方法があります。行動面で問題をもつ子どもを支援するための「問題解決コラボレーション(Collaborative Problem Solving)」です。この方法は、行動に課題をもつ子どもたちは重要な思考スキルが足りないという前提に立っています。

 「この思考スキルは、読み・書き・計算などの学習領域に含まれるというよりは、感情をコントロールし、自らの行動の結果を予測し、それが他者にどんな影響を与えるか理解し、自分が困っていることを他者に伝えること、または周囲の変化に計画的かつ柔軟に対処することに関連しています。(中略)課題をもつ子どもたちは、人生の社会性・感情・行動の課題に対処するためのスキルを習得していないのです」(『教師と親のための子どもの問題行動を解決する3ステップ』、17ページ)

 まさに、SELのスキルの欠如と捉えているのです。それらのスキルを身につけられるようにすることこそが、真の対処法だと!

 この本のタイトルにあるように、本のなかで中心的に説明されているのは、共感する、問題定義、提案の3ステップについてです。

それは、すでにこのブログでも紹介したことのある「デザイン思考」

https://selnewsletter.blogspot.com/search?q=%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%80%9D%E8%80%83 や https://projectbetterschool.blogspot.com/2021/05/blog-post_16.htmlと、作家の時間や読書家の時間の中心的な教え方のカンファランス・アプローチ(その具体的な進め方は、「大切な友だち」https://projectbetterschool.blogspot.com/2012/08/blog-post_19.html)と同じとも言えます。

 なかでも、最初の「共感」がとても大切★であることが、これら3つのアプローチから分かります。この「最初のボタンの掛け違い」が起こっていると、その後のステップは、すべて徒労に終わる可能性が大です。

 授業妨害や教師の指示に従わない等の問題行動を抱える子どもへの対処法を探している方は、『教師と親のための子どもの問題行動を解決する3ステップ』(ロス・W.グリーン著、日本評論社、2013年)がおすすめです。

 

    共感については、本ブログで連載しました。https://selnewsletter.blogspot.com/search?q=%E5%85%B1%E6%84%9F

2025年7月5日土曜日

プロジェクト学習

SELの2本目の柱である「生徒が自己管理/コントロール能力を身につけることの大切さ」の初回では「時間の管理」を扱いましたが、2回目はプロジェクト学習です。『成績だけが評価じゃない』の著者のサックシュタインさんは、プロジェクト学習(Project-based Learning。以下、PBL)を、

「生徒が現実世界に存在する、個人として意味のあるプロジェクトに主体的に参加する学び方・教え方」1のことです。生徒が興味をもつ探究課題に深く取り組むことを求める「本物の学習体験」2を促進して、授業をサポートします。

 PBLは、自己管理能力やそのほかのSELの核となる能力を伸ばしながら、必要な学習スキルや内容知識を生徒が身につける最適な方法です(『成績だけが評価じゃない』の117ページ)。

と説明しています。

 PBLは、探究学習(https://x.gd/ATFao)やデザイン思考(https://x.gd/yV0dj)と基本的に同じもの(あるいは、とても似たもの)と捉えられます。この教え方だと、教科で押さえるべき知識面と、自己管理能力を含めたSELの核となるスキルを分けることなく一緒に身につく形で教えることができるという大きなメリットがあります。

 彼女はまた、『Rigorous PBL by Design(生徒が主体的に取り組むPBLの設計)』という本を引用しながら、PBLの特徴を次のように紹介してくれています。

 「優れたPBLをどのようにデザインすれば生徒が内容の理解を深め、最終的には知識を応用・活用できるのか。従来のようなやり方で授業を行い、簡単な試験やテストで評価するのではなく、生徒を巻きこみ、その過程で生徒が何を知っているのか、何ができるのかを実際に見取る教え方がPBLです。PBLには、継続的なフィードバックと問題解決が構造的に組み込まれているからです」(同上、117~8ページ)

そしてさらに、

問題解決型のアプローチの利点を指摘し、PBLを「21世紀にふさわしい成果に対応し、21世紀に必要とされる仕事に関連する行動を真似られ、現実世界の問題を実際に解決する機会を生徒に与えられる教育手段」と表現しています。

現実の問題を解決する機会を生徒に提供するだけでなく、取り組みたい問題を生徒に選ばせることもできます。これには、市民としての意識や社会的スキルを育むためのサービス・ラーニング4といった機会も含まれます(同上、118ページ)。

 中等学校の社会科教師のチャリティー・パーソンズ先生は、PBLを実践するポイントを以下のように整理しています(同上、119ページ)。

     生徒の生活に結びつける。

     現実世界の問題や複数の視点に結びつける。

     教室に探究者のコミュニティー★5をつくる。

     本物の評価★2を行う。

     生徒に考えさせたい質問を提案したいという教師の熱意を認めたうえで、生徒が主導権をとる。

この最後の点について参考になるのが、『たった一つを変えるだけ』ですので参考にしてください。サックシュタインさんは、プロジェクト学習について次のようにまとめてくれています(同上、120ページ)。

パーソンズ先生が提案するように、PBLは学習と評価のプロセスに生徒が参加するという素晴らしい方法です。生徒が授業中にプロジェクトに取り組んでいるとき、必要に応じて教師は手助けをしたり、生徒の生活や興味関心に結びつくスキルや内容を身につけるための実地経験も与えられます。また、プロジェクトは長期間にわたって行われるため、時間の管理や目標設定のスキルを磨く機会ともなります。

 通常の教科書をカバーする授業とは、生徒たちの取り組みはまったく違います! なにしろ、自分たちが教科書に合わせるのではなく、自分たちがしたいことに取り組むのですから!★6 そこでは、もはや授業時間という捉え方も存在しなくなります。生徒たちが主体的に取り組み始めたら、もはや授業時間というくくりは意味のないものになってしまいますから。生徒たちはいつでもどこでも考え続けたり、実験したり、書き続けたり、読み続けたりするようになるわけです。

 

★1・アメリカでPBLの普及でもっとも有名な団体がまとめた本が『プロジェクト学習とは』ですので参考にしてください(https://www.pblworks.org/what-is-pbl)。

★2・「本物の学習体験」とは、実際の生活や社会で直面するような現実的な問題場面での解決方法を考えることです。そのなかで生徒を評価するときは「本物の評価」と言います。「真正の」と訳されることもあります。教科書をカバーして、テストでその記憶力を測るような、学校(あるいは、授業)のなかだけで完結する学習体験を「偽物の学習体験」や「偽物の評価」と位置づけることで際立たせています。

★3・PBLには、ここで紹介されている「プロジェクト学習(Project-based Learning)」と「プロブレム学習(Problem-based Learning)」の2つがあります。両方とも略すとPBLとなり、その方法も、現実に存在する問題を扱って解決するという点でもまったく同じです。プロブレム学習については、『PBL~学びの可能性をひらく授業づくり』(北大路書房)を参照してください。

★4・ボランティア活動のように、教室で得た知識を地域社会において社会貢献活動を行うことです。学習者と地域社会が連携し、双方に利益がもたらされます。日本で行われているボランティア活動、キャリア教育、職場体験などとは大きな違いがあるので、それを明らかにすることで日本でも今後取り組むべき展望が見えてきます。

★5・教室のなかに「学習者のコミュニティー」ができることは、教科書教材を扱っている限りはなかなかハードルが高いです。主役は、教材であって自分たちではないことを、教師も生徒たちも薄々感じているからだと思います。それに対して、自分たちが主役と思えると、まったく違った「(教師も含めて)みんなで「よりよい学習者」になっていくコミュニティー ~ 共に助け合い、教え合い、学び合い、刺激し合う「学習者仲間」として存在している」関係が構築されるのです。https://wwletter.blogspot.com/2010/05/ww.html

 学校においては、教師集団がこれをモデルで生徒たちに示し続ける存在である必要がありますが、それを実現できている学校はどれほど日本に存在しているでしょうか?(それは、「校内研修」という枠組みで捉える限りは到底できるものではありません! 本文の最後に書いたような「授業」という枠組みから脱することができるような工夫をしないと、継続して共に助け合い、教え合い、学び合い、刺激し合う「プロの教師の学習者集団」を構築することはできません。それは、やらされてするもの(というより、仕方なくそこにいるもの)ではなく、やりたくて仕方がないから、やらなければ他の仕事に支障をきたすから、するものです。)

★6・文科省も、この大切さというか価値を知っているので、「総合的な学習の時間」を設けました(残念ながら20年を経て、風前の灯火状態ですが)。それではまずいと、今度は「総合的な学習(探究)の時間」と言い始めています。しかし、それらの関連であまりお勧めできるような情報に出会ったためしがないので、今号では普通ではあまり目にしない多数の本を紹介しています。

2024年5月18日土曜日

「生徒の声をしっかり聴き、学校の意思決定に反映させる」

 表題の原タイトルは、Elevate Student Voiceです。

私たちの学校や授業は、果たしてどのくらいそれを実現できているでしょうか?

あなたは、自分の学校と授業を生徒の声を意思決定に反映させるという観点で評価したら、100点満点の何点ぐらいと採点しますか?

SELの5本の柱のうちの一つが、「責任ある意思決定」ですから、これは極めて重要なことです。学校や授業でその練習をしないで、いったいどこでするというのでしょうか?

SELを意識する/しないにかかわらず、私たちは「生徒の声をしっかり聴き、学校の意思決定に反映させる」ことは学校経営や学級経営の柱であるはずです!★

 

あなたの学校や教室では「生徒の声をしっかり聴き、意思決定に反映させる」ために、どんな仕組みや方法が実践されていますか? 以下のような質問に答えることで、そのための最初のステップや、継続的な改善の必要な領域を把握することができるでしょう。

・教職員は、生徒が学習者、リーダー、問題解決者、意思決定者として夢中で取り組む★★形で、生徒一人ひとりの視点と経験を尊重し、高めていますか?

・学校レベルのSELの実践、授業、および学校の風土形成などに、生徒が参加するための方法を組み込んでいますか?

・生徒は、定期的に教室、学校、およびより広い地域社会を改善するための活動、解決策、およびプロジェクトを自ら発案し、取り組んでいますか?

(以上のほかに、自分たちに対して投げかけられる質問は考えられますか?)

 

●「参画のはしご」とSEL

生徒の声を意思決定に反映する主な目的は、生徒が(教師を含めた)大人と協力して変革の担い手となることを支援することです。それを学校時代に練習するために。もう30年も前に提示された「参画のはしご」(下図)は、教師が生徒を意思決定にどのように関与させているかを振り返る方法を示しています。生徒がすべてを自ら発案し、取り組むことが現実的でない場合でも、教師や管理職には(生徒にも)多様な選択肢があることを思い出させてくれます。5段ぐらいは、マイナスの効果しかない(?)と言えるでしょうか。


生徒の声を聴き、学校や授業の意思決定に反映させる方法

・アンケートやインタビューで、学校全体でのSELの実践、学校の文化/雰囲気、授業への取り組み具合、教師と生徒の関係、およびその他の生徒たちが日々学校で体験している重要な要素に関する思いや考えを生徒たちから聞き取る。発展形として、教師が調査をしてしまうのではなく、生徒に調査をしてもらい、結果を発表してもらうことまでしてもらう。さらには、結果をどう活かすかのプロセスに参画してもらうことも!

・学校で意思決定が行われるできるだけ多くの場面に、生徒代表の参加を図る。特に、「声」の弱い生徒たちの参加に気を配る。ミーティングのもち方(話し合いの仕方)や意思決定のプロセスの練習になる。その際、お客さんとして参加するのではなく、自分事として捉えられる内容であることが不可欠!

・生徒主導の教室、学校、地域をよりよくするための計画立案(+実行)や提言活動を奨励しましょう。生徒たちは信じさえすれば、自分たちが関心をもつ問題について仲間と共に取り組むことができます。その際、教師は生徒がリーダーシップを発揮するために必要なスキル(例えば、スピーチ、会議の計画・運営、仲間の組織づくりなどの能力)を身につける手助けをする必要があるでしょう。

・生徒の声や考えが中心になるように授業形態をシフトしていく。もっとも手ごろなのは、プロジェクト学習やデザイン思考の学習です。『あなたの授業が子どもと世界を変える』『子どもの誇りに灯をともす』『プロジェクト学習とは』およびhttps://projectbetterschool.blogspot.com/2023/07/blog-post_16.html を参照ください。

出典:https://schoolguide.casel.org/focus-area-3/school/elevate-student-voice/

 

★同じことは、対教師や、対保護者や、対地域にも言えてしまいます。しかし、管理職や教師の声さえ反映できていない状況で、生徒、保護者・地域の声を反映させることは夢のまた夢の状態が続いています。このテーマに挑戦したい方には、『一人ひとりを大切にする学校』、『ペアレント・プロジェクト』がおすすめです。

★★単に生徒を学習者として夢中で授業に取り組むことさえ、かなりハードルの高い現状では(夢中で取り組めていない場合は、生徒一人ひとりの視点と経験を尊重し、高めることは期待できないことを意味します!)、学習者に加えてリーダー、問題解決者、意思決定者として授業や学校のことに取り組んでもらうということを考えられますか?

★★★以下は、オマケ情報です。Elevate Student Voice」でChatGPTに尋ねてみてください。「生徒の声をしっかり聴き、学校の意思決定に反映させる」ための方法が、網羅されています。果たして、日本の学校ではこのリストのどれだけが行われているでしょうか?(各項目に5点を振り分けると、全部で100点になります。学校を採点する指標として使えるでしょう! 全部の項目を見てみたい方は、pro.workshop@gmail.comに資料請求してください。)

2025年12月6日土曜日

簡単に不正ができない課題や活動や評価を生徒たちに提供するには

 SEL便り: 責任ある意思決定 の3回目です。

前回の最後で、「コピペや剽窃では達成できない課題や活動を提供することを提案しています」が、『成績だけが評価じゃない』の中ではその具体的な方法が紹介されていないので、それが提供されているいくつかの本を紹介しました。

今回までに、その具体的な提案が書いてある資料を見つけたので紹介します。

簡単に不正(カンニングやズル)ないしコピペや剽窃ができてしまう評価や試験を出し続けているのは、教師の側(あるいは、制度の側)と言えます。教育ないし学校という制度ができたときから、これらの問題は付きまとっていたというか・・・・ つまり、生徒の側の問題ではないのです!★

以下のような特徴を持つ試験や課題は不正を起こりがちとされます。

      単純な暗記問題中心答えを事前に入手すれば容易に高得点が取れる。

      監督が甘い試験や課題他人に解かせたり、検索で答えを探せる。

      選択肢が少なく予測可能推測やパターン認識で正答できてしまう。

 要するには、ペーパーテストや小論文は必然的に不正を招く評価法、ということ?!

 それに対して、「不正が困難な課題ないし評価」の特徴には以下のようなものが挙げられます。

A オープンエンド型の記述問題(思考過程や独自の解釈を問う)

B プロジェクト型課題(成果物やプロセスを評価する)

C 口頭試問や対話型評価(その場で応答する必要がある)★★

さらには、表現の媒体として、文字だけでなく、多様な表現媒体を可能にしたものからの選択が可能、というのも大事ではないかと思います。

 不正が容易にできてしまう(よって、頭に残るものも少ない)課題や評価をさせるのではなく、不正が困難で、かつ残るものも多い課題や評価に転換するには、以下のような特徴をもったものを考える必要があります。

1.   各自の独自性や創造性が発揮されるもの

2.   個人的なつながり

3.   取り組む目的・意図がもてる(明確)

ちなみに、この3つは、エッセイ・スピーチ・創作など、どんな表現でも「心に響く」ものにするための基本軸です。逆に言えば、これらがないものは、課題として響かない(残るものではない)ことを意味します。

 

●教師だけの評価から、4者の視点からの評価への移行

 そして、教師だけの評価ではなく、4者の視点からの評価への転換も同時に大切になります。それによって、教師だけに偏らず、多様な視点を取り入れることができるからです。

  • 自己評価 ― 学習者自身が振り返りを行い、メタ認知的に自分の学びを考えることで、学習への責任を自覚する。
  • 仲間による評価 ― ワークショップや「ギャラリーウォーク」(作品を展示して互いに見合う活動)を通じて、他者の視点から自分の成果を見てもらい、仲間の成果から学ぶ機会を得る。
  • 教師による評価 ― 教科の専門知識や学習基準に基づいた専門的なフィードバックを受けることができる。
  • 真の対象(オーディエンス)による評価 ― 作品を公開し、ウェブやSNSでコメントをもらったり、閲覧数や共有数などのデータを分析したりする。昔ながらの口コミやアンケート、会話での反応も有効。これらによって、学習者は自分の成果が社会にどのような影響を与えているかを理解できる(だけでなく、さらなる改善・修正の必要性も認識できる!)。

教師の一方的な評価でなく、4者の視点からの評価にすることで、学習者が自分の学びをより深く理解し、現実世界での意味や影響を実感できるようになります。

 さらに、従来の簡単に不正ができる評価から困難な評価への移行には、次の点への配慮も大切です。

・内容とスタイルを分けて評価する
事実・知識・正確さといった「内容」と、デザイン・技術的な質・表現力といった「スタイル」を別々に採点します。これにより、創造的なスキルがまだ発展途上でも、知識面での理解は正しく評価されますし、その逆も可能になります。~ https://projectbetterschool.blogspot.com/2023/02/blog-post_19.html の「三つのP」を参照。

・評価を価値観に合わせる
生徒に、研究者として成功したり、建設的なコミュニティーの一員として成長してほしいなら、その資質を伸ばすような評価項目を設定しましょう。例えば「独創性」「勇気」「社会的な影響力」といった観点を重視します。

・ポートフォリオを公開する
生徒に学習の成果物を集め、学期や年度を通して振り返りをさせます。公開可能なデジタルブックやEポートフォリオにまとめることで、学びの物語をより意味深く、より本物らしく伝えることができます。

 以上のような形で、カンニングやコピペや剽窃では達成できない課題や活動を提供することが可能となります。

 

★(教師も含めた)制度側の問題なのに、それを生徒に責任転嫁しているのです!

★★Aのオープンエンド型の記述問題は、まさにライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップで日々やり続けていることです。Bのプロジェクト型課題(成果物やプロセスを評価する)の代表には、『プロジェクト学習とは』『PBL~学びの可能性をひらく授業づくり』『あなたの授業が子どもと世界を変える』『子どもの誇りに灯をともす』『たった一つを変えるだけ』などが参考になります。Cの口頭試問や対話型評価は、『一人ひとりを大切にする学校』の中心の一つに据えられているエキシビションという評価法です。

★★★ 「●教師だけの評価から、4者の視点からの評価への移行」以降で書かれていることのほとんどは、総括的評価のことではなく、形成的評価を重視した書き方になっています! 総括的評価は、成績をつけることが目的なのに対して、形成的評価は生徒の学びの質と量をさらに拡大すること(と、教師の教え方に修正改善をもたらすこと)が目的です。どちらがより価値があるかと言えば、後者です。前者の価値は、いったい何でしょうか?

 

出典: https://www.ascd.org/el/articles/tips-for-grading-authentic-assessments