2024年10月5日土曜日

アメリカの小中高でのSEL実施率は、83%

 「SELが新たな記録を打ち立てました! 全米の学校の80%以上がSELカリキュラムを実施しています。」


 多くの研究が示しているように、適切に実施されたSELプログラムは、生徒と教師の学業成績、社会性、感情面での成果を改善します。

 日本ではまだ、そのSELのパワーはほとんど知られず、行われているのは旧態然の道徳教育ですが、それは生徒や教師の学業面、社会性、感情面での成果を上げるのに貢献しているでしょうか?

 もし、その機能を果たしていないなら、道徳の代わりにSELの導入を真剣に考えるべきです。 

 参考になる本に、

SELを成功に導くための五つの要素』

『感情と社会性を育む学び(SEL)』

『学びは、すべてSEL

などがあります。ぜひ、比較してみてください。


 アメリカの83%もの学校がSELに取り組んでいるという数字を明らかにした報告書を読みたい方は、https://www.rand.org/pubs/research_reports/RRA1822-2.html で入手できます。

2024年9月21日土曜日

日々の小さな目標と大きな夢

 心身の健康と日課についてふり返る

 アメリカでは、新年度を迎えて数週間が経ちました。中学校最終学年8年生の子どもが先日、保健体育の時間に記入した今年一年の心身の健康改善のための行動計画の紙にサインをするように求めてきました。生徒と教師だけでなく、保護者のサインを必要とするのはとてもよい方法だと思います。そうでなければ、思春期の中高生のなかには、なかなか保護者と共有しないこともあります。


「行動計画」と題された紙には、

  • 心身の健康のための目標

  • その目標を達成するためにどのような行動をするのか(〇曜日、時間、場所を記入)、

  • その行動をとることで自分にとってどのようなよいことがあるのか、(個人的な満足、ストレス軽減、身体を鍛える、態度改善、やる気の向上、人間関係の向上、リスクの軽減、その他、のなかから該当するものを選ぶ)

  • 一生懸命取り組むという宣言

  • 自分と保護者の署名

  • やる気のでる言葉

が記入されていました。


 一人ひとりの子どもが、自分の日々の生活をふり返り、どのようなことに関心をもち、どのような行動を取りたいと思っているのか、心身の健康の維持、向上について考える時間をとることは、感情や自己認識、ストレス改善について考えるうえでとても有意義だと思います。


日々の学びと、大きな夢、日常生活をつなげる

 さらに一歩進んで、未来の自分を思い描き、日々の生活や学びとのつながりを考える機会を与えることで、学びに大きな意義を見出し、やる気を高めることにつながります。近年の脳科学の研究では、中高生は、ものごとを大きく捉えることができるようになり、社会や人の役に立ちたいという気持ちを内在しているそうです。中高生の脳は、自分について自由な思考をする部位と意識的に集中して思考する部位の調整がうまくできるように発達している段階で、このつながりを強めることが、成人後のアイデンティティの形成や自己認識、メンタルヘルスとも関連していると言われています。

 

 未来の自分を想像し、自分がどのようなことに興味があるのか考えるために、ある研究では、科学の時間に9年生に次の2つの質問をし、短く回答してもらいました。


1.世界は不公平です。だれもが、さまざまな方法で世界をよくしたいと思っています。飢餓を減らす、偏見を減らす、暴力や病気を減らす、そのほかにも世界は、いろいろな方法でよくなります。あなたは、どのようになったら世界がよくなると考えますか。

ー回答例は、「差別をなくしたら、暴力や戦争が減る」「適切なエネルギー資源があれば、飢餓問題が解決できる」といった簡潔なものです。ここでは、生徒の興味関心のある分野が示されます。


2.世界に貢献するためには、あなたは、将来どのようなことができるますか。

ーある生徒は、「遺伝子組み換え作物をつくり、食物を増産して、飢餓を減らす」と答えました。また、エネルギー問題に関心のある生徒には、環境工学の基礎となる単元は関心が高いものになるでしょう。

 

 研究結果によると、この、一授業時間内でできる簡単な課題で、生徒の成績が向上したそうです。また、生徒が「効率のよい農業経営の設計について考えるために数学を学ぶ」など、自分の将来の目標とつながった学ぶ意義を考えるときには、生徒はより我慢強く課題に取り組み、より多くの問題に挑戦するとの研究結果もあります。自分のなかの興味関心を引き出し、目標をもつことで、授業へのやる気や取り組みが改善します。


 さらに、学びと自分の夢や目標をつなげるだけではなく、学んだことが自分や家族、地域にとってどのように役に立つか考えさせることもやる気の向上につながります。

「日常生活で自分や友人、家族にとって学んだことはどのように役に立ちますか?」

「このトピックについての学びは将来設計にどのように関連しますか?」

のような、学びを日々の生活と関連づけて考えることで、科学への関心が高まり、成績が向上します。研究では、この成績の向上は、成績の低い生徒にとくに顕著だったということです。


 小さな日々の目標をたてることで日々のストレスや感情との向き合いかたを考える機会をもつとともに、スケールの大きな目標や夢と日々の学びとのつながりを考えさせ、言語化させることで、学びのオーナーシップを育むことになり、日々の学びをより意義のあるものにしていくことができます。ぜひ、目標や夢について考え、自分についてふり返る時間をとってみてください。


2024年9月7日土曜日

いつでも、どこでも、誰が対象でも使えるSELの活動が35も無料で見られる!

SELとは、どのようなものか?

今すぐSELを始めるにはどうすればいいのか?

これらのよくある質問に応えるために、SELを普及することを目的に1994年に設立されたCASELによってSEL 3 Signature Practices(←どういう意味? 直訳すると「SEL 3つの署名実践」)が開発されました。CASELSELフレームワークとSELの主要な構成要素(要するに、5つの柱のことです!)に基づいており、実行可能で効果的な体系的SELの出発点として利用できます。

いつでも、どこでも、誰を対象にしてもできる簡単な活動が、全部で35紹介されています。時間的には、5~15分ぐらいのものが多く、長くても30分です。一つひとつの活動は極めてシンプルに見えますが、学校や(SELの視点を踏まえた)授業という複雑なシステムに大きな影響を与える機会を提供します。まずは、校内研修や興味のある仲間内で、あるいは職員会議のなかで(司会や管理職/参加者の了解を得たうえで)試してみるのがいいのではないかと思います。

 35の活動は、https://signaturepractices.casel.org/practices/ で全部見られます。親切に、要する時間、磨けるSELのスキル、そして想定できる対象が書かれています。そして、「View Full Details」をクリックすると、それぞれの活動の詳細を説明したページに移動します。(翻訳ソフトを使って、全部読めます!)

●4つのコーナー

 有名な「4つのコーナー」というページを見てみましょう。

 まず、この活動の概要と「4つのコーナーがSELにどう役立つのか」が説明されています。

 概要には、「参加者は、4つの短いテキストや画像などから一番ピンとくるもの選択します。その後、自分選択に合った「コーナー」に移動し、そこで一緒になったメンバーと選択の理由を共有します。その後、全体のグループが再集合し、経験を振り返るための数分間を取ります」と書いてあります。

 SELにどう役立つかは、「自己管理/エイジェンシーと、社会認識/帰属意識」の二つが強調されています。

 その下には、

・いつ、なぜ「4つのコーナー」をするのか

・どうすすめたらいいのか ~ ここが一番細かく親切に書かれています!

・変更/応用の仕方

・具体的な事例の紹介 ~ これがあるのが、ありがたいです。

 具体的な事例の一つは、4枚の写真を見て、いまの自分の役割/仕事が象徴するイメージを一つ選ぶというものです。まさに、校内研修にピッタリ! 写真は、

https://casel.s3.us-east-2.amazonaws.com/sites/5/Corners-Right-now-my-role-feels-like-images.pdf で見られます。

 4つのうちのどれを選ぶかで、当然大きく異なりますが、面白いのは、たとえ同じものを選んでも、その理由は必ずしも同じではなく、かなり多様であることが、コーナーに分かれて話し合うことでわかります。そして、その後の全体での振り返りでも多くの発見や気づきがあります。

 筆者がこの「4つのコーナー」という類まれなるいい活動を知ったのは40年近く前なのですが・・・人権教育の活動で紹介されていました。それ以降、開発・環境・多文化理解・平和教育等に応用しましたし、道徳や社会科でも。あなたも、自分の授業でどう使えるか考えてみませんか? これがまさに、教科とSELの統合というか融合です!

参照ページ: https://signaturepractices.casel.org/?_gl=1%2A9q9hqv%2A_ga%2AMTc4MjIzMTI1MS4xNzAxNjQ3NjQy%2A_ga_WV5CMTF83E%2AMTcyNTU3NzU0Ni40NS4wLjE3MjU1Nzc1NDguMC4wLjA.(「SEL 3 Signature Practices Playbook」は、教室、学校、教育委員会でSELを教科指導やその他の学校活動に統合するための導入ガイドであり、35の活動の使い方を説明したガイドでもあります。)

2024年8月18日日曜日

新学期の準備ー居場所を感じられ、集中して学べる環境をつくる

  

 近年のさまざまな研究で教室のデザインが学びに大きな影響があることがわかってきています。担任の教師が変えられないものも多くありますが、簡単かつ効率的に教室で子どもたちが学びやすい環境をつくることも可能です。新学期を迎える前に、どのような環境で子どもたちが学びやすいか、学んでほしいか考えてみるのもよいかもしれません。

2024年8月3日土曜日

スポーツ+遊びとSEL

 皆さんは、最近寝不足になっていませんか?

 そうです、パリ・オリンピックを見るために。

 個人的には、年と共に、あまり見なくなっているので、寝不足の問題はありません。

 また、スポーツは見るもの以上に、するものだとも思っています。

 そこで、今回はSELという観点で、スポーツ(と遊びも)を見てみたいと思います。

 まずは、https://mobilecoach.teamusa.org/page/5103/connection-based-coaching/18629/about-connection-based-coaching をご覧ください。動画で話されていることは、すべて画面に表示されています(から、本文を翻訳ソフトに入力して訳してください)。アメリカはオリンピックを活用して参加者(子どもたち)のSELスキルを磨くことに乗り出しています! 何といっても、パリの次はロサンジェルスですから。

 次はオリンピックとは関係なく2020年の10月にアップされた動画https://www.edutopia.org/video/using-athletics-teach-social-and-emotional-skills を見てください。言葉はあまりわからなくても、感じはつかめると思います。何が話されているのかを知りたい方は、動画の下の「View transcript」をクリックすると、話されている内容が読めます。これを翻訳ソフトで訳してください。(あるいは、YouTubeの画面の下にある歯車アイコンの「設定」を操作することで、日本語字幕に換えられます。まだ翻訳ソフトの精度は7~8割程度ですが、意味は十分に通じます。)

 スポーツは、子どもたちのSELスキルを磨くとてもいい機会であることがわかります。それなら当然、学校での体育の授業でもSELをと考える方には、

https://www.edutopia.org/article/sel-possibilities-physical-education

https://www.edutopia.org/article/setting-sel-program-physical-education-classes がお勧めです。

 もう一つのテーマの遊びに移ります。

 『遊びが学びに欠かせないわけ』の第8章のタイトルは、「社会的・感情的な発達に果たす遊びの役割」です★。まさに、SELの各要素が磨かれることが明らかにされています。

その最初のページに、「大人たちから離れて、他の子どもたちと遊ぶことで、子どもは自分で判断し、自分の感情や衝動をコントロールし、他者の視点で見られ、他者との違いを乗り越え、そして友だちになることを学びます。要するに、遊びによって子どもたちは自分の人生をコントロールすることを学ぶのです」(206ページ)と書かれています。私たちは、この大切な機会をドンドン減らしていないでしょうか?

 そして、『遊びが学びに欠かせないわけ』の著者は、遊びとしてするスポーツと大人によって指導されるスポーツを比較しています(以下は、206~7ページの引用です)。

昔はよくやっていた草野球を思い描いてください。誰か一緒に遊べる仲間がいることを期待して、多様な年齢の子どもたちが空き地に集まってきます。歩いてくる子、自転車でくる子、一人でくる子、何人かと誘い合ってくる子といろいろです。そして、バットを持ってくる子、ボール(それも、本物の硬球ではありません!)を持ってくる子、そして野手用のグローブを持ってくる子もいます。そして、遊ぶのに十分な人数になったので、始めることになるのです。信頼のあるもっともいいプレーヤー二人が双方のチームのキャプテンになり、自分のチームのメンバーを順番に指名します。その後に、帽子、フリスビー、サイズが合いそうなものなら何でも使って、ベースを配置します。もしすべてのポジションを埋めるには人数が足りない場合は、何とかやりくりします。子どもたちに何をどうしたらいいのかを教えてくれたり、問題が起こったときに解決してくれたりする大人はいません。自分たちですべてをやらなければなりません。このような野球の仕方は、まさに「本物の遊び」です。何をどうするかはすべて子どもたち自身によって決められ、運営され、そして何かの報酬のために行われるのではなく、野球を楽しむためだけに行われます。

 今度は、リトルリーグの野球を思い描いてください。手入れが行き届いたグランドで行われます。それは、プロの選手たちがプレーするグランドのミニ・バージョンです。遠くからくる子もいたり、親たちがサポートをしたりしているので、子どもたちの多くは親に車で送ってもらっています。自分の子どもを見守り、チームに声援を送るために、多くの親が練習や試合を見るのにとどまります。継続して行われるリーグなので、誰がレギュラーで誰が控えかは事前に決まっています。それぞれのチームには、大人のコーチや主審がいます。公式な成績がつけられ、勝ち負けの記録によってシーズンの優勝チームが決まります。本当にそこでプレーしたい子どもたちもいますが、中には親におだてられたり、押し付けられたりした子どももいます。

遊びとして行われる非公式で自主的な草野球やその他のスポーツは、公式で大人によって指導されるスポーツでは得られない貴重な教訓があります。以下に紹介するのは、どんな人でも得られる大事な五つの教訓です。

教訓1・試合を続けたければ、全員を満足させ続けなければならない。

教訓2・ルールは修正可能で、プレーヤーたちによってつくられる。

教訓3・対立は、話し合い、交渉、妥協で解決する。

教訓4・あなたのチームと相手チームの違いは一切ない。

教訓5・よいプレーをして、楽しむことの方が、勝つことよりもはるかに重要。

これらについては、207~214ページで詳しく論じられています。

 以上のことからも、遊びの価値が明確です。そして、学校や大人によって指導されるスポーツも、これらをできるだけ補う必要性をわかっていて、かつその方法をもっている指導者がいないと、せっかくのチャンスを逃していることになります。だからアメリカでは最初のURLで紹介した「SELについて100万人のコーチをトレーニングする取り組み」をスタートさせたのです。

★この章以外でも、遊びと学びについて多面的に捉えた本(=学校の在り方を根本的にとらえ直す本)になっていますので、ぜひご一読を! https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-EK-0731224 で、詳しい目次が見られます。

2024年7月21日日曜日

夏休みの間のSELの実践~自分のEQを高める

 子どもたちを適切にサポートするためには、まずサポートする教師自身がEQやSQを培うことが必要です。教室での教師の感情は、ポジティブなものもネガティブなものも子どもたちに影響します。そして、大きなストレスを抱えている場合には、客観的な評価や適切な対応をすることが難しくなります。また、教職員のSELを促すことによって、研究では、下記のようなさまざまな効果があることが指摘されています。

  • 燃え尽き症候群(バーンアウト)の低下、同僚との信頼関係の向上

  • 忍耐力や共感する力が高まり、円滑なコミュニケーションの促進、安全に学べる環境の構築

  • 子どもの感情と社会性を育む学びのより効果的な実践

  • 子どもたちとの関係性向上、教室運営の改善、問題行動の低減

  • 学校風土への積極的な貢献


 教師がうまく自己管理をできる場合、子どもたちに向き合いうまく対応することができるとともに、子どもたちの自己認識や自己管理能力を高めるためのモデルとなることができます。夏休みの間に自分の感情と向き合い、EQを高めることで、自分自身の生活や二学期以降の学級運営、子どもたちのSELにポジティブな影響があることでしょう。




 今回は、自己認識と自己管理能力、共感する力を高めるアクティビティについてご紹介します。すべてのステップで大切なことは、感情を受けとめ、客観的に捉えること、自己批判をしないようにすることです。


1.感情を認識する

 一日、もしくは一時間でも、自分の感情に注意を向けましょう。待ち合わせに間に合わずに不安なときには、「今、不安を感じている」と、友人に会えて嬉しいときには、「今、嬉しいと感じている」と心の中でつぶやいてみましょう。自分の感情を批判せずに、そのまま受けとめ、気づくことが大切です。ノートや日記に書きとめて、自分の感情をふり返るようにするのもよいでしょう。一言で言い表せない気持ちや、表現できる言葉が見つからなくても、思いつくままに書きとめてみましょう。

2.身体的反応を自覚する

 次に、身体が感情に対してどのような反応をしているのかに着目します。たとえば、閉まりかけたエレベーターに乗ろうとして、誰かがボタンを押して待っていてくれたとき、自然と笑顔になっているかもれません。これは、「感謝」という気持ちに対する反応です。もしくは、上司に話すときに、肩に力が入り、胃がキリキリし、早口になるのは、「防衛反応と不安」を感じているからだと認識できます。身体は、感情に影響を受けるので、自分の身体の反応に注意を向けることで、有益な情報が得られ、どのようにふるまうか決めることができます。たとえば、上司と話す際に不安を感じる自分に気がついたならば、深呼吸をして、肩の力を抜いて、ゆっくり話すことで、落ちつくことができるかもしれません。自分の感情に気がつき、言語化することで、無意識の感情に基づく行動を減らすことにつながります。


3.好奇心をもつ

 自分の感情に気づき、言語化することができたなら、その感情について考えてみましょう。「自分はいつもこの不安を感じるのか?いつから始まったのか?ほかの上司と話すときはどうか?どうして不安を感じるのか?」と感じている感情について客観的に考えることで、感情に捕らわれる状態を緩め、対策を考えられるようになります。


4. 自分の感情を観察する

 私たちはポジティブな感情もネガティブな感情も経験しますが、感情そのものではありません。感情を感じている自分自身を俯瞰的に捉えることができれば、感情に左右される意思決定を避けることができます。感情には、強力で長く続くものも、軽く一時的なものもありますが、永続的なものではなく、多かれ少なかれ常に変化するものだということを頭に入れておくことが大切です。

 さらに、ある感情を感じることで、自分のなかでどのような考えが生まれているのか、感情と考えのつながりを観察することも有効です。客観的に感情を捉えられるように習慣を身につけておくことで、より合理的な意思決定ができるようになります。


5.自分の感情が他者に与える影響に気づく

 自己批判に陥らないように気を着けながら、自分の感情が他者にどのように影響しているのか考えましょう。ここでは、「興味深い!まったく考えたことがなかった。自分が__を感じているときに、Xはこんなふうになっている」というような客観的な科学者のような視点が大切です。たとえば、自分はAさんに会ったときには、笑顔で接し、嬉しく感じ、あいさつをすると、Aさんは、満面の笑顔で、リラックスした面持ちで自席につくことに目を向けることができます。また、自分が疲れていて面倒くさいと思いながら市役所である書類を取りに行くときには、職員は、目を合わせずに機械的な対応をした、といったことが挙げられます。他者への影響に気がつくことが目的のため、観察し、言語化することが大切です。


 また、もし何か動揺するようなことがあった場合にも、周りの人に、気がかりや悩みがあること、今、この場にしっかりと集中するように努めること、いつもよりも集中力を欠くかもしれないこと、を簡潔に伝えてみると、周囲への影響がどのように変わるか観察してみるのもよいでしょう。

参照:

Strengthening Adult SEL & Cultural Competence | CASEL District Resource Center

A Practical Guide to Setting Up Daily Teacher Reflection | Edutopia

5 Simple Lessons for Social and Emotional Learning for Adults | Edutopia


2024年7月6日土曜日

夏休み中のSEL

 SELは、学校の中だけで行われるものかというと、決してそうではありません。

 その際たるものが、夏休み前や夏休み中に行われるサマーキャンプなどの宿泊行事です。宿泊行事にはSELの要素がすでに含まれているか、含めやすいです。

 長年、宿泊合宿は「安全、仲間/居場所意識の醸成、心身面の成長」を目的に行われてきました。体力や様々なスキル面の成長や練習の機会だけでなく、コミュニケーション、仲間との協働、忍耐力ややり抜く力を磨くことも意識していたと思います。

 ぜひ、後者の観点から行事の内容を見直したり、プログラムの一部を委託していたりする場合は、https://selnewsletter.blogspot.com/2023/06/sel.htmlで紹介されている本を紹介したりすることができます。あるいは、https://casel.org/blog/sel-skill-building-at-summer-camp/★の情報を担当者で読んだり、提供したりしてもいいかもしれません。

 また、学校の責任でする・しないにかかわらず、博物館や美術館訪問も、参加者の展示にまつわる考えや物語を共有し合ったり、質問を出したりすることで、新しい意味や理解をつくり上げたり、自分や他者理解につながります。日本のそういった施設では対生徒のプログラムを実施しているところでも、まだSELの視点を踏まえているところは少ないと思うので、担当者に本サイトや上記の本やhttps://casel.org/blog/sel-skybridges-museums-as-partners-in-social-and-emotional-learning/などを紹介してあげるといいでしょう。

 他にも、子ども劇場などの活動(ということは、学芸会も!)は、オーディションの段階から、練習、リハーサルや切符のプロモーション、そして公演までのすべてのステップがSELのスキルに満ちています。子ども劇場や学芸会の関係者には、次の情報を読んでもらうといいかもしれません。

https://casel.org/blog/sel-steps-into-the-spotlight-theater-as-the-perfect-setting-for-social-and-emotional-growth/

 図書館や映画館なども他者理解や自己理解に役立つ機会があります。たとえば、ディズニー&ピクサーによる最新アニメーション映画「インサイド・ヘッド2」が、81()より日本全国の劇場で公開されます。(日本では20157月に公開された「インサイド・ヘッド(原題は、Inside Out)」ももちろんお勧めです。9歳の女の子の頭の中を舞台に、そこに住む「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐れ」の5つの「感情」を題材としており、擬人化されたそれらのキャラクターを主人公に据え、彼らが少女を幸せにすべく奮闘する様子が描かれています。)

 公立図書館では、司書にSELの本を紹介してもらえるようにお願いします。もし、紹介してもらえなかった場合は、その司書の名前を覚えておいて、数日後に「いろいろ調べてみたら、結構SEL関連の本が出ていることが分かりました」と、

https://selnewsletter.blogspot.com/2023/11/sel.htmlで紹介されている本や、

https://selnewsletter.blogspot.com/search?q=SEL%E3%81%AE%E7%B5%B5%E6%9C%ACを紹介してあげてもいいかもしれません。特に、司書が興味をもつのは、

https://docs.google.com/spreadsheets/d/e/2PACX-1vS_cqoO1OnMIqJzMTAhIbd-UZZTNLZZY-STwjYf9UJg2XvCN5JHLg-PbphrteMzz_-a8F9eRmbce1Om/pubhtml のリストだと思います。そして、(このリストがすべてを網羅しているわけではありませんし、常に新しい本も出続けているので)これらの分類で、他にもお勧めの本はないか尋ねてみるのです。

 さらには、遠くに旅行に行く必要はなく、身近な町や地域を親子で(あるいは、小学生高学年以上なら友だち数人で)探検してみるというアイディアもあります。

https://casel.org/blog/exploring-the-city-discovering-themselves/

 教師が学校の中だけですべてを担おうとせず、子どもたちの感情と人間関係を育むのは家族も含めて社会全体の責任ですから、情報を提供することで相応の役割を担ってもらうようにしていきましょう。

 

★翻訳ソフトやChatGPTを使うと、8割ぐらいの精度で日本語にしてくれますので内容は把握できます。(私は両方ともほとんど使わないので、両方とも同じレベルと思っていましたが、よく使っている人によると、翻訳ソフトの方が精度は上のようです。)